トランプ大統領の施政方針演説 基本政策は不変、メッセージは「アメリカ・ファースト」
トランプ大統領の施政方針演説 基本政策は不変、メッセージは「アメリカ・ファースト」
【ポイント1】大統領就任後初の議会演説
施政方針などを提示
■トランプ大統領は現地時間2月28日の夜、議会上下両院合同委員会で演説を行い、1年間の施政方針を示しました。
■米大統領が年初に行う演説は「一般教書演説」と呼ばれますが、一般教書演説は、大統領が前の1年間を振り返り、その評価などにも触れることが通例となっているため、大統領が就任した年に行う演説は、「上下両院の合同会議で行われる演説」と呼ばれています。
【ポイント2】減税、インフラ投資を提唱
最初から最後まで“米国第一”
■内容については、これまで表明していたものと、ほぼ同じでした。すなわちオバマ前政権の国民皆保険制度、いわゆるオバマケアの廃止とそれに代わる医療保険制度の創設、中間所得層の減税を含む税制改革、1兆ドル(約110兆円)のインフラ(社会資本)投資、国防費の大幅な増額について述べられました。しかし、それらについての踏み込んだ説明はなく、財源に関する言及もありませんでした。
■演説では、最初から最後まで「America First(米国第一)」のトーンが鮮明でした。この方針に沿って、エネルギー産業の規制緩和により「新たに建設されるパイプラインは米国製の鉄鋼が使用される」と述べました。そのほか米国民の雇用拡大や賃金上昇、さらに国内の治安向上を促進するために、移民規制強化の方針を掲げ、国境の「壁」建設を改めて宣言しています。
【今後の展開】トランプ予算の概算は3月に公表される見通し
■今回の議会演説の内容は、新鮮味に欠けるものでした。「米国第一」主義が掲げられはしましたが、特に保護貿易主義に傾斜した内容ではなかったこと等から、為替市場では米ドルが買われ、東京市場の株価は米ドル高・円安を受けて上昇しています。
■トランプ大統領の予算概要は、3月16日に議会に提示される予定です。その後、議会が大統領とも協議を重ねて予算が決まってきます。この協議によって実際の予算内容・規模が、市場の織り込みからどの程度かい離するのか、注目が集まります。
(2017年 3月 1日)
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