資源価格上昇で改善著しい豪州の国際収支 黒字転換の可能性が高まる経常収支
資源価格上昇で改善著しい豪州の国際収支 黒字転換の可能性が高まる経常収支
【ポイント1】中国向け資源輸出が急拡大
貿易収支が黒字に転換
■16年11月の豪州の貿易収支は20.4億豪ドルの黒字となりました。14年3月以来2年8カ月振りの黒字です。続く12月は35.1億豪ドルと、黒字幅が拡大しました。中国で鉄鋼生産回復と鉱山減産が同時に起ったことで、豪州の主力輸出品である鉄鉱石や石炭などへの需要、価格が底入れしたためです。
■10-12月期の財別輸出動向を見ると、石炭・コークスが前年同期比78.6%増、鉱物が同26.2%増などとなっています。地域別では、中国向けの同22.9%増、欧州連合(EU)向けの同23.2%増が目立ちました。なお、日本向けは同9.8%増でした。
【ポイント2】進む経常収支の改善
貿易収支の改善が寄与
■貿易収支の改善により、豪州の経常赤字は、過去最大だった15年10-12月期の▲230億豪ドルから直近16年7-9月期の▲114億豪ドルへと、ほぼ半減しました。貿易収支の動向から判断すると、続く10-12月期の経常収支はさらに改善が進んだ可能性が高いと考えられます。資源価格が足元の水準で推移すれば、18年までに豪州の経常収支は73年以来の黒字に転換する見通しです。
【今後の展開】堅調が見込まれる豪ドル相場
■豪ドルの対円相場は、16年半ばを底に上昇基調を辿っています。資源価格の持ち直し、豪州準備銀行(RBA)と日銀の金融政策の方向性の違い(日銀は緩和姿勢継続、RBAは中立姿勢維持の見込み)に加え、豪州の経常収支の黒字転換見通しを考慮すると、豪ドルの対円相場は今後も堅調な推移が見込まれます。
(2017年 2月 21日)
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