堅調さを保つ米国の雇用統計(2017年1月) 市場予想を上回る増加となった雇用者数
堅調さを保つ米国の雇用統計(2017年1月) 市場予想を上回る増加となった雇用者数
【ポイント1】雇用者数は22.7万人増
サービス業を軸に順調に拡大
■2017年1月の非農業部門雇用者数は前月比22.7万人増となり、市場予想(ブルームバーグ集計)の同18.0万人増を上回りました。
■雇用の増加ペースを3カ月移動平均で見ると、月平均18.3万人となります。サービス業を軸に、雇用は順調に拡大しています。
【ポイント2】失業率は小幅な上昇
職探しを再開する人が増加
■失業率は前月の4.7%から4.8%に上昇しました。就業者数は増えましたが(労働需要の拡大)、労働力人口がそれ以上に増えた(労働供給の増加)ことが原因です。就職を諦めていた人が、景気拡大の長期化に伴い、求職活動を再開したためと考えられ、雇用環境の改善を示すものといえます。
■他方、賃金は前月比0.1% 増、前年同月比2.5%増となりました。基調として上昇を続ける自発的離職者(自らの意思で退職する自己都合退職者)比率が示す通り、労働需給が引き締まってきているため、賃金も緩やかに増加する見込みです。
【今後の展開】株価は堅調な展開へ
■雇用統計が公表された2月3日の米株式市場は、上昇しました。雇用者数の伸びが市場予想を上回ったうえ、トランプ大統領が、オバマ前政権のもとで強化された金融規制の見直しを指示する大統領令に署名したためです。一方、債券利回りは、賃金上昇率が思ったほど加速しなかったことを受け、早期の利上げ観測が後退したことから小幅に低下、米ドルも主要通貨に対して若干の下落となりました。
■米国経済は、良好な雇用・所得環境を背景とした個人消費の安定した増加に、トランプ政権による公共投資の拡大が加わるため、今後、成長を加速させる見通しです。利上げは継続されると予想されますが、物価、賃金の上昇率が緩やかなことから、そのペースは緩慢なものにとどまると考えられます。こうした状況を踏まえると、株価は今後、景気・企業収益の拡大を織り込む展開になると見られます。
(2017年 2月 6日)
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