堅調を維持する米国の雇用統計(2016年11月)強弱まちまちだが、労働市場は改善基調
堅調を維持する米国の雇用統計(2016年11月)強弱まちまちだが、労働市場は改善基調
【ポイント1】雇用者数は17.8万人増
ほぼ事前予想通り、堅調さを維持
■2016年11月の非農業部門雇用者数は前月比17.8万人増となり、市場予想(ブルームバーグ集計)の同18.0万人増とほぼ一致しました。
■過去2カ月の雇用者数の修正が合計で0.2万人減と、小幅な下方修正にとどまったことと合わせて考えると、10月の雇用は堅調だったと評価できます。
【ポイント2】失業率は大幅な低下
賃金上昇率は前月から鈍化
■失業率は4.6%と、住宅バブルに沸いた2007年後半の水準まで低下しました。就業者数が増加(労働需要の増加)したうえに、労働力人口が減少(労働供給の減少)したためです。
■他方、賃金上昇率は前月比0.1%の減少となりました。前月が同0.4%増と大幅に伸びた反動と考えられます。前年同月比でも2.5%増と前月の同2.8%増から鈍化しましたが、自発的離職者比率の上昇が示す通り、労働需給が引き締まってきていることから、今後、再加速が見込まれます。
【今後の展開】株、債券は欧州情勢に反応
■11月の雇用統計は強弱まちまちの内容でしたが、改善の基調そのものに変化はなく、金融市場では12月の利上げ実施が確実視されました。ただ、憲法改正の是非を問うイタリアの国民投票など週末の欧州での政治日程を前に、リスク回避の動きが表れ、米債券利回りは低下、ダウ平均株価は下落、外為市場では米ドルが売られ、円が買われました。
■米国経済は、良好な雇用環境を背景とする個人消費の順調な増加を支えに拡大を続けています。トランプ新政権のもとでは、これに公共投資の増額が加わるため、経済の成長ペースは一段と加速する見込みです。欧州情勢などの不透明要因が払拭されるにつれて、株価は景気や企業収益の拡大を織り込む展開になると予想されます。
(2016年12月 5日)
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