最近の指標から見る豪州経済(2016年10月)景気は緩やかな拡大を持続、豪ドルは底堅い展開へ
最近の指標から見る豪州経済(2016年10月)
【ポイント1】企業、家計のマインドは堅調
個人消費は底堅く推移
■2016年9月の雇用者数は前月比1.0万人の減少となりました。雇用統計は月ごとの変動が激しいため、変動を均した政府公表のトレンド値を見ると、同0.4万人増となります。トレンド値は増加の勢いが鈍ってきていますが、景況感指数は企業の採用意欲が衰えていないことを示唆しており、雇用の増勢は今後も維持される見通しです。一方、失業率は前月の5.7%から5.6%に低下しました。
■失業率の低下、雇用の増加などから、消費者マインドは上向きであり、小売売上高は前年比3%前後の伸びを維持しています。家計部門は底堅く推移しています。
【ポイント2】政策金利は据え置き
物価は低い水準で安定
■豪州準備銀行(RBA)は10月4日に開催した金融政策決定会合で、政策金利を1.50%に据え置くことを決定しました。同月26日発表の7~9月期の消費者物価上昇率は、RBAの重視するトリム平均値(異常値をつけた項目を除いた物価指数)の前年同期比で+1.74%と、前期の同+1.68%から小幅上向きました。物価の下振れが回避されたことで、RBAは当面、政策金利を据え置く見込みです。
【今後の展開】底堅い推移が見込まれる豪ドル相場
■今年に入ってからの豪ドルの対米ドル相場は、緩やかな上昇トレンドを維持しています。RBAのスタンスは緩和的ですが、原油や鉄鉱石などの資源価格が持ち直してきたこと、米国の利上げが進んでいないことが豪ドルの押し上げ要因となっています。
■対円についても豪ドルは目先、底堅く推移する見込みです。日銀のさらなる金融緩和観測が根強く、豪日の金利差が急激に縮小する可能性は当面のところ低いと考えられるためです。資源価格の持ち直しも、豪ドル上昇の支援材料となる見通しです。
(2016年10月27日)
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