成長のカギを握る中国の「供給側改革」(中国)
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「供給側改革」は、習主席が昨年後半に、インフラ投資や輸出への過度な依存から内需重視の経済構造への転換を進めることを狙い提唱した、やや幅の広い概念です。非効率な企業の退出を促し、新たな成長分野に資源を投入することで、中長期的な成長力を強化することを狙っています。政府は「供給側改革」に、今年から始まった5カ年計画で重点的に取り組む方針としました。 |
【ポイント1】経済の新陳代謝を促す
企業の創業や新規参入を促し、中期的な成長力の強化を狙う
■政府は、「供給側改革」を進めるうえで、①重厚長大産業を中心とした過剰生産能力の解消、②不動産在庫の解消、③地方政府債務の処理進展による金融リスクの解消、④企業コストの軽減、⑤新産業育成、の5つを優先的に取り組む課題としました。
■①~③の推進により、当初は製造業を中心に経済にネガティブな影響が生じます。しかし、④と⑤の推進により企業の創業や新規参入が容易になる結果、経済のけん引役となる産業が育成され、中長期的な成長力を強化することを狙っています。
【ポイント2】企業の退出が増加傾向
鉄鋼や石炭産業で先行
■鉄鋼や石炭産業では、企業再編、生産効率の低い企業の廃業、鉱山の閉山が足元で増加しています。政府が「供給側改革」で、過剰生産能力の削減を先行させていることが要因です。
【今後の展開】「供給側改革」で、経済の核となる産業の育成へ
■ゾンビ企業の処理を積極化
李首相は、「供給側改革」で市場を活性化させる考えを改めて示しました。減税や規制緩和で企業を支援する一方、「僵屍企業(ゾンビ企業、金融機関や政府のサポートを受け倒産を免れている過大な負債を抱える企業)」の処理を積極的に行うとしました。約1,000億元の補助金を予算化し、労働者の適切な移転を促し、雇用も重視する方針を示しました。
■金融・財政政策による景気下支え
足元では、世界景気の減速による輸出の減少に加えて、「供給側改革」も一因となり、景気下振れ圧力が強まっています。一方、政府は全人代で、「供給側改革」の重要性を再確認したことから、この推進のためにも景気下支え策を強化すると見込まれます。追加金融緩和や財政支出拡大により、「供給側改革」を推進することをサポートすることが期待されます。
(2016年3月25日)
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