最近の指標から見る欧州経済(2015年10月)~追加金融緩和による緩やかな回復持続を期待~

最近の指標から見る欧州経済(2015年10月)

【ポイント1】景気は底堅く推移

製造業は回復の動き鈍る
■ユーロ圏の8月の生産は前月から減少しました。新興国経済の減速などから輸出が減少し、生産活動が弱まりました。しかし、10月の製造業PMI(購買担当者景況感指数)は前月比横ばいと低下が一服し、生産鈍化の動きが落ち着きつつある兆しも見られます。

■8月の小売売上高は、雇用や所得環境の改善により、前月から増加し、10月のサービス業PMIは小幅に持ち直しました。サービス業の景況感は比較的高い水準を維持し、景気は底堅く推移しています。

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【ポイント2】物価が下落

民間企業向け貸出の伸びが鈍る
■これまでのユーロ圏の景気回復は、欧州中央銀行(ECB)が量的金融緩和に踏み切ったことや、ユーロ安が支えています。 

■物価は低位で落ち着いた動きではあるものの、9月は原油安により下落しました。また、民間企業向け貸出の伸びはプラス圏に戻ったものの低調です。世界経済の今後の見通しが下振れ傾向にあることなどから、金融緩和効果が薄らいでいるようです。

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【今後の展開】サービス業の下支えや追加金融緩和による緩やかな回復持続へ

■ユーロ圏の景気は、サービス業が下支えとなり、緩やかな回復を続けると見られます。ただし、中国などの新興国経済の減速、排ガス不正問題の悪影響、シリアやウクライナなどの地政学リスクなどから、企業の投資が減速する可能性には注意が必要です。

■景気や物価の見通しが下振れ、12月にもECBは追加緩和策を講じる見込みです。金融政策以外では、規制緩和の促進や、比較的余裕があるドイツの財政スタンスの緩和が期待され、緩やかな景気回復が持続すると見られます。

(2015年10月28日) 

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