最近の指標から見る中国経済(2015年8月)~景気減速懸念が強まり、追加対策への期待が高まる~
最近の指標から見る中国経済(2015年8月)~景気減速懸念が強まり、追加対策への期待が高まる~
【ポイント1】景気減速懸念強まる
製造業PMIが2カ月連続低下
■7月の固定資産投資(除く農村部)の前年同月比は前月から低下しました。生産も低下し、景気の減速懸念が強まりました。さらに、8月の財新製造業PMIが市場予想を下回り2カ月連続で前月から低下、景気減速懸念が一段と強まりました。
■7月の小売売上高は、小幅に鈍化したものの、飲食業やオンライン消費などが比較的堅調で、概ね安定した動きでした。
【ポイント2】公共投資は比較的堅調
住宅価格上昇の都市数は増加
■全国70の大都市の統計では、半数近くの都市で住宅価格が上昇し、住宅価格が前月比上昇する地域も拡大しています。住宅需要が徐々に回復していることを示唆していると見られます。
■また、公共投資の伸びは投資全体の伸びを上回り、比較的堅調です。都市部での配管や通信ケーブル収納のための地下パイプライン建設推進や地下鉄などの都市交通整備などの公共投資が景気の下支え役になっています。
【今後の展開】追加の政策対応が期待され、景気底割れは回避へ
■8月11日に人民元が突然切り下げられたことから、中国が内需中心の景気刺激策を転換し、輸出のテコ入れのため通貨切り下げに動いたとの見方が金融市場に広がりました。ただし、輸出拡大を狙った大幅な切り下げは国際社会で受け入れられないことは中国政府・当局も理解していると見られ、人民元の切り下げは段階的に行われると見込まれます。
■中国政府は、過去の反省から大型の財政支出による景気対策には消極的です。今後もこの方針は継続される見込みで、インフラ整備、環境対策、市場化推進など、成長力の引き上げに必要な政策発動を積極的に行うと見られます。追加の金融緩和も期待され、年後半に向けて、景気の下振れ懸念が次第に薄らぎ、中長期的な安定成長へと向かう展開が見込まれます。
(2015年8月25日)
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