「エルニーニョ現象」が発生(グローバル)
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気象庁によれば、2014年夏から「エルニーニョ現象」が発生しています。今後、秋にかけて「エルニーニョ現象」が続く可能性が高いと見られています。また、1997-98年以来の本格的な規模となる可能性も指摘されています。「エルニーニョ現象」が本格化した場合は、オセアニアやアジアの広い地域で干ばつ等が発生し農産物価格を押し上げ、世界的に物価や経済に影響が及ぶ可能性もあります。 |
【ポイント1】「エルニーニョ現象」とは?
アジア・オセアニア地域で少雨・高温・干ばつとなる可能性高まる
■ 気象庁によれば、「エルニーニョ現象」とは、「太平洋赤道近辺の日付変更線の辺りから南米のペルー沿岸にかけて、海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が半年から1年程度続く現象」とされています。具体的には、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5カ月移動平均値が6カ月以上続けて+0.5℃以上となった場合と定義されます。代表的な「エルニーニョ現象」は1982-83年、1997-98年、2009-10年に発生しました。2014年夏にも発生したと見られています。
■ 「エルニーニョ現象」に伴うアジア・オセアニア地域で最も特徴的な異常気象としては、オーストラリア、東南アジア、インドといった広範な地域では少雨・高温で干ばつになりやすい、日本では梅雨明けの遅れや冷夏、暖冬になりやすいことなどが指摘されています。なお、同海域の海面水温の低下に伴い、この逆の結果が発生することを「ラニーニャ現象」と呼びます。
【ポイント2】「エルニーニョ現象」の発生を確認
既に気象に変化が表われる
■ 2014年夏に発生した「エルニーニョ現象」は、2009年に比べて弱く、日本以外の周辺国では同現象の発生を認めていない国もありました。今年は、日本だけでなく、米国、オーストラリアも「エルニーニョ現象」の発生を認めています。
■ オーストラリアやフィリピンでは干ばつが発生、インド中部でも熱波が襲っていると伝えられるなど、既に気象に変化が表われ始めています。また、インドでは「エルニーニョ」が起こるとモンスーンに伴う海上風が弱まり降雨が減少するとの指摘もあります。
【今後の展開】影響は限定的だが、注意深く見守る必要がありそう
■「エルニーニョ現象」が及ぼす影響は限定的
「エルニーニョ現象」によって発生する干ばつが農業生産を減少させ、物価に影響を与える可能性があります。ただ、原油価格の水準が1年前に比べて低いことが影響を和らげると考えられます。フィリピンではコメ等の備蓄が多いこと、インドでは農産物の備蓄体制が着実に改善していることなどから、影響は限定的と考えられます。
■影響を注視する必要がありそう
ただ、「エルニーニョ現象」の発生と農業生産の減少との関係を見ると、減少するタイミングが、国やその時々の「エルニーニョ」によって、発生年であったり翌年であったりと時間差があります。物価や経済成長に与える影響は限定的と考えられますが、影響を注視する必要がありそうです。
(2015年6月1日)
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