米雇用統計は天候要因もあり高い伸び 製造業の調整も一旦一巡か
米雇用統計は天候要因もあり高い伸び 製造業の調整も一旦一巡か
【ポイント1】雇用者数は前月から加速
■2020年1月の米非農業部門雇用者数は前月比22.5万人増となり、市場予想の同16.5万人増を大きく上回りました。サービス部門が堅調だったほか、暖冬の影響で建設業が伸びを高めたことなどが寄与したとみられます。足元の雇用情勢は3カ月平均で20.1万人増と、2019年平均の17.5万人を超える堅調な伸びとなっています。
■製造業は自動車セクターの弱さを要因に1.2万人減とマイナスの伸びになりました。ただし、雇用増の企業から雇用減の企業を引いた数字で比較してみると改善がみられることから、製造業での雇用調整の動きは一巡しつつあるようです。
【ポイント2】賃金上昇ペースは鈍化見込み
■1月の賃金は前年同月比3.1%増と前月から改善しました。これは前年1月の数字が弱かった反動によるものであると考えられ、来月以降は徐々に上昇ペースは鈍化する見込みです。企業業績の伸びが減速する中、雇用コストの抑制が進んでいるためです。また、失業率は3.6%と前月から小幅に悪化したものの、約50年ぶりの低水準を維持しています。
【今後の展開】新型肺炎の影響を見守りつつも、米景気拡大が株式市場をサポート
■7日の米国市場では、雇用統計の発表を受けて米景気の底堅さが改めて確認されたものの、新型肺炎の感染拡大による世界景気への悪影響が再び意識されたことから、株価が下落し、為替は円高ドル安が進行しました。また、長期金利は低下しました。
■新型肺炎の拡大リスクには注意が必要ですが、中国以外での感染が限られていることから、世界的なサプライチェーンへの大きな悪影響などがなければ、米国市場への影響は限定的とみられます。堅調な雇用情勢など米国景気の持ち直しを受けて企業業績は回復局面に転じると期待され、米国株式市場は緩やかな上昇が続く見通しです。
(2020年2月10日)
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