今年度の『自社株買い』は10兆円超の見込み

2019/10/30

今年度の『自社株買い』は10兆円超の見込み

3月期決算企業の中間決算発表が始まりましたが、大規模な『自社株買い』を発表した企業を中心に株価が上昇する場合が多いため、発表の際、業績に加えて『自社株買い』にも市場の関心が高まっています。『自社株買い』はコーポレート・ガバナンス(企業統治)改革の進展を背景に、1株当たりの利益や資産価値を向上させる目的などから資金を充てる企業が増え、今年度は10兆円に達する見込みにあります。

【ポイント1】2019年度の『自社株買い』は大幅に増加の見込み

■『自社株買い』とは、企業が発行した株式を、その企業が市場で買い戻すことをいいます。企業が、買い戻した後に消却することで発行済み株式数が減少し、1株当たりの利益や資産価値を向上させる効果があります。

■2019年度の『自社株買い』の計画額は、QUICK集計によると9月末時点では約5兆1,700億円となっています。例年上期より下期の方が『自社株買い』の計画発表が多いため、年度では10兆円(昨年度は7兆円弱)を上回る可能性が高まっています。『自社株買い』の増加の背景には、資本効率の向上に取り組む企業が増えていることに加えて、米中対立を受けて成長投資に踏み出せない企業が『自社株買い』を選択している面もあります。

【ポイント2】『自社株買い』の発表が相次ぐ

■大日本印刷は、9月11日の取引終了後、発行済み株式総数(自己株式を除く)の1割弱にあたる最大600億円の『自社株買い』を実施すると発表し、翌12日には株価は9%を上回る上昇となりました。同社はリクルートホールディングス株の売り出しに参加し、長年政策保有していた株式を売却、513億円の売却益を計上すると発表しており、資金の活用法を巡って市場の関心が高まっていました。

■10月28日の中間決算公表時、オリックスは1,000億円を上限とする『自社株買い』の実施を発表しました。発行済み株式総数(自己株式を除く)の約5.5%に相当する7,000万株を上限として実施します。併せて『自社株買い』の終了後、発行済み株式総数の5%相当を超える分の全ての自己株式を消却することも発表しました。

【今後の展開】『自社株買い』は今後も増加の方向

■2019年度の『自社株買い』は日銀の上場投資信託(ETF)の買い入れ額を上回り、10兆円を超える見込みにあり、日本株の需給関係に与える影響は非常に大きくなっています。『自社株買い』は米国に比べれば規模が小さく、今後も増加するとみられます。こうした中、企業は『自社株買い』ありきではなく、成長ステージや株価水準も十分検討した上で、中長期視点から実施することが望まれます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

(2019年10月30日)

印刷用PDFはこちら↓

今年度の『自社株買い』は10兆円超の見込み

関連マーケットレポート

2019年10月23日 『親子上場』の見直しは進むか?

2019年 9月30日 『敵対的買収』は日本に定着するか?

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会