不安定な動きが続くインド株式市場(2019年8月前半)世界的なリスク回避の動きが強まる
不安定な動きが続くインド株式市場(2019年8月前半)世界的なリスク回避の動きが強まる
【ポイント1】株式市場は世界的なリスク回避で不安定な動き
■インドの主要株式指数のSENSEXは、8月も企業業績や米中貿易摩擦への警戒感などから軟調な動きが続いています。トランプ大統領は8月1日、ほぼすべての中国製品に制裁関税を広げる「第4弾」の発動を表明しました。米中対立の一段の激化を嫌気し、SENSEX指数は7日に約5カ月ぶりの安値水準に下落しました。その後、インド政府が外国人投資家に対する追加課税案を差し戻す意向を示したことで急反発したものの、アルゼンチン大統領選の予備選挙で左派候補が優位となったことを嫌気して同市場が急落すると、投資家のリスク回避姿勢が強まり、大幅に反落するなど振れの大きい展開となっています。
【ポイント2】インド準備銀行は市場予想を上回る利下げ
■インド準備銀行は8月7日、金融政策決定会合で政策金利を5.75%から5.40%へ引き下げました。市場予想の0.25%を上回る0.35%の利下げ幅とし、政策スタンスについては緩和を据え置き、ハト派的な姿勢を維持しました。準備銀行は2019/20年度のインフレ見通しをほぼ据え置く一方、成長率見通しは7.0%から6.9%へ下方修正し、やや下振れリスクがあるとの認識を示しています。また、準備銀行は、消費者向け信用のリスクウエイトの引き下げや、銀行のノンバンクへの貸し出し規制緩和を発表しました。
【今後の展開】追加利下げやノンバンクへの貸し出し緩和は支援材料
■インド株式市場は7月以降軟調に推移していますが、一方で株価バリュエーションの割高感は相当程度払しょくされたと考えられます。また、準備銀行による追加利下げや、銀行のノンバンクへの貸し出し規制緩和で貸し渋りによる信用収縮が和らぎ、民間消費を支援することが期待されます。世界的なリスク回避の動きのなかでも、年度後半の景気持ち直しへの期待から株式市場は底堅く推移するとみられます。
(2019年8月16日)
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