日本企業の決算発表が本格化~悪材料は織り込み済みか?

2019/01/28

 

市川レポート(No.626)日本企業の決算発表が本格化~悪材料は織り込み済みか?

  • 今回の決算発表では、中国経済減速の影響とアップル・ショックの影響を見極めることがポイントに。
  • 中国景気の大幅減速は回避、今週はアップルの決算にも注目、半導体需要は年後半に回復か。
  • 日本株は景気減速など悪材料は織り込み済み、決算発表後は慎重ながらも上値を試す展開か。

今回の決算発表では、中国経済減速の影響とアップル・ショックの影響を見極めることがポイントに

日本では今週から3月期決算企業の2018年4-12月期決算発表が本格化します。今回の決算では、中国経済の減速とアップル・ショックの影響を見極めることがポイントになると思われます。一般に中国関連とされる銘柄のうち、産業用ロボット大手のファナックが1月31日に決算を発表し、建機では日立建機が1月30日に、小松製作所が1月31日に、それぞれ決算を発表します(図表1)。

また、米アップルが1月2日に2018年10-12月期の売上高見通しを下方修正したことで、いわゆるアップル・ショックが発生し、電子部品関連の業績に不透明感が強まっています。こうしたなか、スマートフォン向け電子部品を製造するアルプスアルパインが1月29日に、TDKが1月30日に、村田製作所が1月31日に、それぞれ決算発表を控えており、市場の注目が集まっています。

中国景気の大幅減速は回避、今週はアップルの決算にも注目、半導体需要は年後半に回復か

なお、弊社は中国経済の失速を想定していません。中国政府は「新常態(ニューノーマル)」を徹底し、緩やかな成長鈍化を容認すると思われるため、実質GDP成長率は2018年が前年比+6.6%、2019年は同+6.3%、2020年は同+6.1%を予想しています。ただ、2021年に共産党の創立100周年、2022年に冬季北京オリンピックなどの重要行事を控えているため、減税やインフラ投資、金融緩和の実施により、景気の大幅な減速は回避されるとみています。

一方、米国ではアップルが1月29日に2018年10-12月期決算の発表を予定しており、こちらも市場の関心が高いイベントです。先行きの業績懸念を払拭できる内容となれば、市場のセンチメントが改善し、前述のTDKや村田製作所の株価にもプラス材料になると思われます。また、半導体需要については、足元で急速に鈍化しているものの、年後半の回復を見込む向きが多いことから、半導体関連企業の決算への期待も残ります。

日本株は景気減速など悪材料は織り込み済み、決算発表後は慎重ながらも上値を試す展開か

さて、改めて図表1に目を向けると、主要企業の株価は昨年12月に大きく下落したものの、年明け以降は総じて持ち直していることが分かります。昨年12月の株安の背景には、米中貿易摩擦問題などに起因する世界的な景気減速への強い懸念があると推測されます。ただ、足元で株価が反発していることを踏まえると、世界的な景気減速の織り込みは、昨年末に相当程度、進んだものと思われます。

弊社では、米中貿易摩擦問題について、知的財産権の保護など構造問題の協議が継続し、関税は脅しの手段としての役割を終えるとみています。また、米国の利上げは12月まで先送りされ、一部の新興国に利下げ余地が生じ、世界経済の成長ペースは全体では大きく鈍化しないというのがメインシナリオです。この見方に基づけば、日本株は今回の決算発表後、徐々に値固めを経て、慎重ながらも上値を試す展開が予想されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

(2019年1月28日)

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