米中間選挙の結果が金融市場に与える影響について
市川レポート(No.589)米中間選挙の結果が金融市場に与える影響について
- 米中間選挙は上院多数党が共和党、下院多数党は民主党と、ほぼ予想通りの結果となる模様。
- 東京市場では、下院で共和党優勢の報道に株高・円安、民主党追い上げで株安・円高の反応。
- ねじれ議会は想定内だが、今後も米中景気の先行きに懸念が残るという点には幾分注意が必要。
米中間選挙は上院多数党が共和党、下院多数党は民主党と、ほぼ予想通りの結果となる模様
米中間選挙は、米東部時間の11月6日午後6時(日本時間の11月7日午前8時)にケンタッキー州、インディアナ州で投票が終了し、開票作業が始まりました。今回の焦点は、下院で民主党が過半数を奪取できるか否かでした。選挙分析サイトのクック・ポリティカル・レポートによると、11月5日時点で獲得が確実とみられる下院の議席数は民主党が182、共和党が137となっており、残り116議席を巡る争いとなりました。
下院で激戦が予想される選挙区を多く抱えるのは、フロリダ州、ペンシルバニア州、テキサス州、ニューヨーク州、カリフォルニア州などです。開票が進むにつれ、各州の注目区で接戦の様子が伝わりました。しかしながら、日本時間の11月7日午後には大勢が判明し、上院の多数党は共和党、下院の多数党は民主党で「ねじれ議会」という、大方の予想通りの結果になる模様です(図表1)。
東京市場では、下院で共和党優勢の報道に株高・円安、民主党追い上げで株安・円高の反応
11月7日の東京株式市場で、日経平均株価は22,189円74銭で寄り付きました。開票が進むなか、日経平均株価は、下院で共和党が優勢になると、追加減税などの政策期待から上昇し、民主党が追い上げをみせると、期待後退で下落するなど、慌ただしい動きとなりました(図表1)。しかしながら、下院での民主党勝利が確実視されるにつれて、売り圧力が強まり、結局、22,085円80銭で取引を終えています。
同日の東京外国為替市場で、ドル円は朝方113円30銭から40銭付近で推移していました。日本株同様、ドル円も開票結果をにらみ、共和党優勢でドル高・円安、民主党の追い上げでドル安・円高と、上下に振れる展開となりました。その後、ねじれ議会の見通しが強まるにつれ、ドル安・円高方向に傾き、日本時間午後3時時点で、ドル円は113円10銭から20銭付近で推移しています。
ねじれ議会は想定内だが、今後も米中景気の先行きに懸念が残るという点には幾分注意が必要
さて、東京市場の反応をみる限り、日本株も円相場も上下に振れたものの、日中の値幅としてはそれほど大きなものではありませんでした。やはり、選挙結果を受けた11月7日の米国市場の動きが重要であり、明日以降の日本市場にも影響が及ぶ可能性があります。ただ、ねじれ議会は市場のコンセンサスであったため、リスクオフ(回避)の動きが急拡大する可能性は低いと思われます。
なお、ねじれ議会の場合、トランプ米大統領が主張する中間層向けの追加減税や、オバマケアの改廃、国防強化の実現性は低下することになります。また、トランプ米大統領は外交政策に幅広い権限を持ち、かつ、現行の対中通商政策は、民主党も一定程度支持していることから、少なくとも貿易問題での中国に対する強硬姿勢に変化はないと考えます。そのため、今後も市場に米中景気の先行きに対する懸念が残るという点には幾分注意が必要です。
(2018年11月7日)
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