日経平均株価下落の解釈
市川レポート(No.573)日経平均株価下落の解釈
- 日経平均の下げは調整の範囲内、上昇ピッチが速かった分、下げ幅の急速な拡大に違和感なし。
- 足元で下落率が拡大しているのは、電気機器、化学、輸送用機器など、外需に分類される銘柄。
- 外需関連銘柄の動きはまだ不安定、中間決算で業績予想に明るさが確認できれば反発も期待。
日経平均の下げは調整の範囲内、上昇ピッチが速かった分、下げ幅の急速な拡大に違和感なし
日経平均株価は10月2日、終値ベースで24,270円62銭の年初来高値をつけました。しかしながら、その後は反落し、10月9日には23,469円39銭で取引を終えました。下落のきっかけとなったのは、米10年国債利回りの上昇です。10月2日から5日までの短期間で、約17ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、主要国の株価下落と円高の進行を促しました。
そもそも、日経平均株価は、終値ベースで9月14日に23,000円台を回復した後、わずか6営業日後の9月26日に24,000円台を回復しました。上昇ピッチが速かった分、下げ幅の急速な拡大に違和感はなく、足元の株安は調整の範囲内と思われます。また、今回の米長期金利の上昇は、米景気の強さを反映した「良い金利の上昇」です。本来、株安要因ではないため、過度な警戒は不要と考えます。
足元で下落率が拡大しているのは、電気機器、化学、輸送用機器など、外需に分類される銘柄
なお、10月2日から9日までの間、日経平均株価の構成銘柄のうち、最も下落率が大きかったのは図表1の通りです。これをみると、SCREENホールディングス、SUMCO、アドバンテストなど、半導体関連銘柄が上位に位置していることが分かります。また、下落率上位30銘柄の多くは、電気機器、化学、輸送用機器、非鉄金属、機械に分類され、外需の低調さが目立ちます。
一方、同じ期間でも上昇していた銘柄があります。日経平均株価の構成銘柄のうち、最も上昇率が大きかったのはユニー・ファミリーマートホールディングスの11.0%で、次に宝ホールディングスの3.1%が続きます(図表2)。また、上昇率上位30銘柄の業種分類では、銀行業、サービス業、電気・ガス業といった内需に加え、機械、ガラス・土石製品といった外需も見受けられます。
外需関連銘柄の動きはまだ不安定、中間決算で業績予想に明るさが確認できれば反発も期待
外需関連銘柄は、9月に日経平均株価が急騰した際、大きく上昇しましたが、足元で日経平均株価が調整色を強めると、その多くが大幅に反落するなど、値動きはまだ不安定です。なお、日経平均株価が調整するなか、銀行業に分類される銘柄は、相対的に良好なパフォーマンスとなりました。これは、米長期金利の上昇を受け、国内の長期金利にも上昇圧力が生じたためと思われます。
東証33業種指数について、年初から直近までの動きをみると、非鉄金属や金属製品など、依然として外需の出遅れが目立ちます。今月下旬から本格化する中間決算では、これら外需に分類される銘柄の業績予想が注目されます。先行きの見通しに明るさが確認できれば、外需関連銘柄の反発が期待され、それが主導する形で、日経平均株価が再び24,000円台を試す展開も想定されます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
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