企業業績の見通しを更新~引き続き増収増益を予想

2018/09/10

市川レポート(No.556)企業業績の見通しを更新~引き続き増収増益を予想

  • 調査対象とする主要企業227社の業績見通しについて2018年度は引き続き増収増益を予想。
  • 2018年度の経常利益は前回から約0.4兆円上方修正、前年度比で約4.1兆円増加の見通し。
  • 企業自身の業績予想は引き続き保守的な数字、今後の決算発表で上方修正の余地は残ろう。

調査対象とする主要企業227社の業績見通しについて2018年度は引き続き増収増益を予想

弊社は9月7日、調査対象とする主要企業227社の業績見通しを更新しました。2018年度は、売上高が451.7 兆円、経常利益が40.7兆円、純利益が28兆円の着地を予想しています。前年度比の伸び率は、順に+6.0%、+11.1%、+3.2%となります。前回6月7日時点では、+5.9%、+10.0%、+1.7%でしたので、今回はいずれも上方修正となり、引き続き増収増益を見込みます。

主要企業227社のうち、製造業は132社、非製造業は95社です。製造業について、2018年度の売上高は前年度比+5.0%、経常利益は同+10.6%、純利益は同+4.0%と予想しています。一方、非製造業は、売上高が同+7.7%、経常利益は同+11.8%、純利益は同+1.9%で、製造業と非製造業ともに増収増益を見込んでいます。なお、前提となる為替レートは、ドル円が1ドル=110円(前回108円)、ユーロ円が1ユーロ=125円(前回130円)です。

2018年度の経常利益は前回から約0.4兆円上方修正、前年度比で約4.1兆円増加の見通し

今回の見通し更新で、2018年度の経常利益は、前回から約3,900億円上方修正されました。ただし、この中には、前提となる為替レートを変更したことによる約800億円の増益分が含まれていますので、実質的な上方修正幅は小さくなります。また、弊社の分類による30セクターのうち、18セクターの経常利益が上方修正され、10セクターが下方修正されましたが、いずれも軽微な修正にとどまっています。

2018年度の経常利益は、前年度から約4.1兆円増加する見通しです。増益寄与が大きい上位セクターは、通信、商社、精密機器、産業用機械等、電子部品とみています。一方、受注採算の悪化が見込まれる建設や、スマホ製造装置や工場自動化(FA)の減速が予想される工作・ベアリング、この他にも、電力・ガスが、減益寄与となるセクターと考えています。

企業自身の業績予想は引き続き保守的な数字、今後の決算発表で上方修正の余地は残ろう

2018年度の業績見通しにおける前提為替レートについて、計算上、ドル円が5円変動すると、経常利益は±8,600億円程度増減し、ユーロ円が5円変動すると、±2,300億円程度増減します。つまり、ドル円とユーロ円の5円の変動は、経常利益にとって±3%弱の変動要因になります。なお、円高に対する経常減益の度合いが大きいセクターは、自動車、産業用機械等、商社です。

最後に、調査対象の227社について、企業自身による業績予想を確認すると、2018年度の売上高の伸び率は前年度比+5.4%、経常利益は同+4.8%となっています。いずれも前回(それぞれ同+4.8%、同+3.7%)から上方修正されていますが、弊社の予想を下回ります。依然として、業績予想に対する企業の保守的な姿勢がうかがえますが、今後の決算発表で、業績予想が上方修正される余地はまだ残っているとみられます。

180910

(2018年9月10日)

 

市川レポート バックナンバーはこちら

http://www.smam-jp.com/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
市川レポート 経済・相場のここに注目   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ