企業決算~前半のハイライト
市川レポート(No.498)企業決算~前半のハイライト
- 半導体関連や電子部品関連の企業決算では、今年度の業績予想は失望を誘うものとはならず。
- 富士通やソニーは特殊要因剥落で減益予想、マツダと本田技研工業は為替の影響が減益要因。
- 今のところ個別物色の動きにとどまるが、緩やかなドル高・円安進行なら、日本株の見直し買いも。
半導体関連や電子部品関連の企業決算では、今年度の業績予想は失望を誘うものとはならず
日本では先週、上場企業の2017年度決算発表が前半のピークを迎えました。そこで今回のレポートでは決算前半のポイントと今後の注目点について整理します。まず、半導体関連では、日立ハイテクノロジーズ、東京エレクトロン、アドバンテストなどが決算発表を終えました。この3社は、2018年度の業績について、いずれも2ケタの増収増益を予想しています(図表1)。
次に、電子部品関連では、日本電産、アルプス電気、ロームなど、大手7社が決算発表を終えました。2018年度の業績について、売上高は7社とも増収を予想しており、純利益はアルプス電気を除き、6社が増益を予想しています。市場では、半導体市場の調整や、スマートフォン向け電子部品の需要減が懸念されていましたが、自動車の電装化などを追い風に、失望を誘う業績予想にはなりませんでした。
富士通やソニーは特殊要因剥落で減益予想、マツダと本田技研工業は為替の影響が減益要因
電気機器を中心とする輸出関連では、日立製作所、三菱電機、富士通などが決算発表を終えました。2018年度の業績について、日立製作所や任天堂は増収増益を予想していますが、富士通、ソニー、ファナックは減収減益を予想しています。なお、報道によれば、富士通は前期発生の株式売却益がなくなり、ソニーも前期発生の土地などの売却益がなくなるため、これらが減益要因になる見通しです。また、ファナックは一般に、慎重な業績予想を示す傾向があるといわれています。
機械では、小松製作所や日立建機などが決算発表を終えています。2018年度の業績について、小松製作所は増収増益予想、日立建機は減収減益予想と、対照的な結果となりました。輸送用機器では、自動車大手のうち、マツダと本田技研工業が決算発表を終えました。2018年度の業績については、ともに増収減益を予想しており、為替の影響が減益要因として挙げられました。
今のところ個別物色の動きにとどまるが、緩やかなドル高・円安進行なら、日本株の見直し買いも
足元の株式市場の動きを見る限り、少なくともガイダンスリスク(弱気の業績予想が相次ぎ株価が大きく調整するリスク)が顕在化している様子はありません。一方で、株式市場が業績予想に対し、それほど強気に傾いている訳でもありません。今のところ、増益予想銘柄が買われ、減益予想銘柄が売られるという、単純な物色の動きにとどまっているように見受けられます。
なお、今回のレポートでとりあげた主要企業の中には、ドル円の想定為替レートを1ドル=105円に設定しているところが多く、これが減益要因となっているケースがみられます。弊社はドル円相場について、2018年度末の着地を1ドル=110円程度と予想していますので、この予想に基づけば、業績に上振れ余地が生じ、日本株の見直し買いも期待されます。企業の決算発表は連休明けも続きますが、企業の想定為替レートと、今後のドル円相場の動きにも注目したいと思います。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
(2018年5月1日)
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