好調なスタートとなった2018年の株式市場

市川レポート(No.465)好調なスタートとなった2018年の株式市場

  • 適温相場は2018年も続くとの見方から、年初の株式市場は先進国、新興国とも好調にスタート。
  • 1月は日米企業決算に注目、予想通りの好結果となれば、日米株価とも上値を追いやすい展開。
  • 株式市場を見通す上で米中経済指標は重要、両国の景気動向は適温相場継続のカギを握る。

 

適温相場は2018年も続くとの見方から、年初の株式市場は先進国、新興国とも好調にスタート

2018年の株式市場は世界的に好調なスタートを切りました。米国ではダウ工業株30種平均など、主要株価指数が連日過去最高値を更新し、日本でも日経平均株価が年初の3営業日で、昨年末比1,000円を超える上昇となりました。その他、ロシアRTS指数、ブラジルボベスパ指数、ドイツDAX指数、中国上海総合指数などは年初から3%を超えて上昇しており、東南アジア諸国の主要株価指数も底堅く推移しています。

この背景には、①年末年始に発表された米中の経済指標が比較的良好な内容だったこと、②1月3日公表の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、緩やかな利上げペースが再確認されたこと、などがあると思われます。そのため市場では、世界的に緩やかな景気回復と緩和的な金融環境が併存する「適温相場」は2018年も続くとの見方が広がり、これがリスクオンにつながったと推測されます。

 

1月は日米企業決算に注目、予想通りの好結果となれば、日米株価とも上値を追いやすい展開

ただ、年初の数営業日の上昇だけで、先行きの相場を楽観視することはできません。そこで以下、主に日米の株式市場にとって、重要と思われる1月のイベントを簡単にまとめておきます。まず米国では、今週から大手金融機関を皮切りに、2017年10-12月期の決算発表が始まります。現在、市場では米主要企業500社の最終利益について、2017年10-12月期以降、しばらく前年同期比2ケタの伸びが見込まれています(図表1)。

一方、日本では米国にやや遅れ、1月22日週から2017年10-12月期の決算発表が本格化します。今回の決算では、製造業を中心に業績の回復傾向が引き続き確認できるか否かが焦点となります。日米とも、企業決算がおおむね市場の予想に沿った内容となれば、株価は上値を追いやすくなると考えます。弊社では日経平均株価について、1-3月期は24,500円まで上振れ余地があるとみています。

 

株式市場を見通す上で米中経済指標は重要、両国の景気動向は適温相場継続のカギを握る

また、日米中央銀行の人事は、為替や金利の思惑的な変動を伴って、株価にも影響を及ぼしやすい材料です。現在、米連邦準備制度理事会(FRB)副議長候補には、独アリアンツ首席経済顧問のモハメド・エラリアン氏や、元FRB理事のローレンス・リンゼー氏らの名前が挙がっています。また日銀総裁については、現時点で黒田総裁続投との見方が市場で優勢です。いすれも今後の進展に、市場の注目が集まります。

1月の主要イベントは図表2にまとめた通りですが、株式市場がこれらを無難にこなす限り、極端な地合いの悪化は回避できると思われます。なお、足元の株高が適温相場の継続期待に支えられているのならば、その期待を変化させ得る材料、例えば米中の景気動向などには、特に注意が必要です。そのため、株式市場を見通す上では、月次の米中経済指標も丁寧にみていくことが大切と考えます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

 

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(2018年1月9日)

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