衆議院解散総選挙が日本株に与える影響
市川レポート(No.438)衆議院解散総選挙が日本株に与える影響
- 衆議院は解散総選挙へ、安倍首相は勝敗ラインを与党で過半数とし233議席の獲得を目指す。
- 市場では与党過半数維持との見方、政策の一貫性保持や長期安定政権は海外勢が好む材料。
- 消費増税にはやや注意だが、市場は追加情報待ち、日経平均は年内にアベノミクス高値更新へ。
衆議院は解散総選挙へ、安倍首相は勝敗ラインを与党で過半数とし233議席の獲得を目指す
安倍首相は9月25日、臨時国会(9月28日召集)の冒頭で衆議院を解散すると表明しました。これにより、衆議院選挙の日程は、10月10日の公示、10月22日の投開票となる見通しです。また安倍首相は、今回の解散を「国難突破解散」と位置づけ、「人づくり改革」に2兆円規模を投入し、憲法9条に自衛隊を明記する改憲を公約に盛り込む考えを示しました。
なお、7月16日から施行された公職選挙法の改正規定により、小選挙区選出議員の定数は295人から289人へ減少し、比例代表選出議員の定数は180人から176人へ減少します。そのため、衆議院全体の議席は、475議席から465議席へ減少することになります。安倍首相は、勝敗ラインは「与党で過半数」とし、233議席の獲得を目標に掲げました。参考までに、9月25日時点で衆議院における与党の議席数は322議席です(図表1)。
市場では与党過半数維持との見方、政策の一貫性保持や長期安定政権は海外勢が好む材料
つまり、与党が今回の選挙で90議席を失えば、過半数割れで敗北となります。ただし、市場では、与党はある程度の議席を失うものの、過半数割れの可能性は低いとみる向きが多いように思われます。なお、小池都知事は9月25日、国政政党の「希望の党」を立ち上げ、代表に就任すると表明しました。民進党の前原代表らは、小池新党との連携も視野に入れている模様で、野党がどの程度、政権批判票の受け皿となるかが注目されます。
次に日本株への影響を考えます。仮に市場のコンセンサス通り、与党が過半数維持という結果になれば、アベノミクスの枠組みは変わらず、緩和的な金融政策と景気刺激的な財政政策が、しばらく続くことになります。また安倍首相が、2018年9月とみられる自民党総裁選挙で勝利すれば、2021年9月までの長期政権が誕生します。政策の一貫性保持や長期安定政権は、一般に海外の日本株投資家に好まれやすい材料です。
消費増税にはやや注意だが、市場は追加情報待ち、日経平均は年内にアベノミクス高値更新へ
なお、消費増税にはやや注意が必要です。安倍首相は増税による税収増分の一部を教育無償化などに充てるとしています。消費増税に先行して幼児教育・保育の無償化が実施された場合、子育て世帯の消費刺激効果が予想され、また、増税後も同世帯の実質可処分所得への悪影響はある程度緩和されると思われます。ただ、弊社では、幼児教育・保育の無償化により、消費者物価指数の伸びは1年間、0.55%ポイント程度押し下げられるとみています。
また消費増税で、国内全体の経済活動が停滞すれば、物価の低迷が長期化する恐れもあり、株価への影響も避けられません。そのため、2019年時点で、国内外の景気減速が顕著となっていれば、消費増税の再延期というシナリオも考えられます。いずれにせよ、これらはかなり先の話ですので、市場は追加情報を待つことになります。なお、過去には選挙後に株安の傾向がうかがえますが(図表2)、今回は選挙後に中間決算が本格化し、好調な業績の確認が期待されます。そのため、日経平均株価は、10-12月期にアベノミクス高値(終値ベースで2015年6月24日につけた20,868円03銭)の更新を試す展開が予想されます。
(2017年9月26日)
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