米税制改革案と市場の評価

2017/04/28

市川レポート(No.386)米税制改革案と市場の評価

  • 基本的に就任100日計画に沿った内容であり、税制改革の決意を改めて示したものに過ぎない。
  • 財源を含め、税制改革の詳細は十分に詰められておらず、まずは共和党議会との協議が必要に。
  • 市場は最終的に何らかの税制改革は実行されると期待、まずは17年度暫定予算の対処に注目。

基本的に就任100日計画に沿った内容であり、税制改革の決意を改めて示したものに過ぎない

ムニューシン米財務長官とコーン国家経済会議(NEC)委員長は4月26日、記者会見でトランプ米大統領の税制改革案を発表しました。詳細は図表1の通りですが、個人所得税については、「税率区分の簡素化」、「基礎控除の倍増」、「富裕層の優遇税制措置廃止」、「最低代替税と相続税の廃止」、「保育や持ち家などを除く税控除廃止」、「医療保険制度改革法(オバマケア)の財源である3.8%の純投資所得税の廃止」などが示されました。

一方、法人税については、「法人税率の15%への引き下げ」、「源泉地国課税の導入」、「海外留保資金に1回のみ課税」などが記されました。基本的にこれらはいずれも、トランプ米大統領が就任100日計画で示した税制改革案に沿った内容です。トランプ米大統領は、4月29日の就任100日目を前に、税制改革に対する自身の決意を改めて国民に示したと見受けられます。

財源を含め、税制改革の詳細は十分に詰められておらず、まずは共和党議会との協議が必要に

しかしながら今回の改革案に、「法人税の国境調整」は盛り込まれず、税制改革を実施するにあたっての財源については懸念が残ります。前述の「富裕層の優遇税制措置廃止」、「保育や持ち家などを除く税控除廃止」、「海外留保資金に1回のみ課税」は財源の一部になると思われますが、ムニューシン米財務長官は記者会見後の質疑応答で、経済成長による税収増と、税の抜け穴をふさぐことで、財政中立になると述べています。

これらを踏まえると、財源を含め税制改革の詳細はまだ十分に詰められていないとみられ、現段階では取り敢えず方針を箇条書きにまとめただけと考えられます。また税制改革は共和党議会が主導してきた面もあるため、トランプ米大統領はこの先、まずは共和党議会との協議が必要になると思われます。そのため当然ながら、今回の税制改革案で列挙された各項目が実現する保証はありません。

市場は最終的に何らかの税制改革は実行されると期待、まずは17年度暫定予算の対処に注目

結局、税制改革案には目新しい材料がなく、財源への懸念も残ったことから、4月26日の米国市場は、株安、長期金利低下、ドル安で反応しました。ただ翌27日の世界の金融市場をみる限り、大きな混乱には至っていません。背景には、来年に中間選挙を控える共和党陣営は、最終的に何かしらの形で税制改革を打ち出すであろうという、市場の期待があると思われます。

ただトランプ政権は、まず4月28日に迫った17年度暫定予算の期限に対処しなければなりません。現在、民主党がオバマケアで定められた低所得者向けの医療費補助を17年度予算に組み入れることを強く主張しており、これに反対する共和党との調整が難航しています。現時点で、議会は暫定予算の期限を一時延長して調整を続け、政府機関の閉鎖は回避される見通しですが、目先の材料として注意しておく必要があります。

 

170428図表1

 

 

(2017年4月28日)

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