フランス大統領選挙~第1回投票を終えて
市川レポート(No.384)フランス大統領選挙~第1回投票を終えて
- 大方の予想通り、マクロン候補とルペン候補が決選投票に進むこととなり、市場に安心感が広がる。
- 為替市場ではユーロが大幅高に、円安も進行してドル円は短期的なドル高・円安トレンドへ転換。
- 市場は仏大統領選とG20をまず無難に消化、今週は朝鮮半島情勢と、米大型減税案にも注目。
大方の予想通り、マクロン候補とルペン候補が決選投票に進むこととなり、市場に安心感が広がる
フランス大統領選挙の第1回投票が4月23日に行われ、現地時間午後8時(日本時間4月24日午前3時)に締め切りとなりました。フランスの複数のメディアは、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン元経済産業デジタル相が得票率で首位、極右政党、国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が2位につけたと報じています。いずれの候補者も過半数に届かず、両候補が5月7日の決選投票に進むことになります。
第1回投票は、世論調査や弊社を含む大方の予想通りの結果となりました。市場にとって最も警戒を要するシナリオは、マクロン候補が得票率で3位以下となり、ルペン候補とメランション候補が決戦投票に進むというものでした。今回そのシナリオの実現が回避されたことで、市場にも安心感が広がっています。なお弊社では決選投票でマクロン候補の勝利を予想しています。
為替市場ではユーロが大幅高に、円安も進行してドル円は短期的なドル高・円安トレンドへ転換
ユーロドルとユーロ円は先週金曜日の4月21日、それぞれ1ユーロ=1.0728ドル水準、1ユーロ=116円94銭水準で取引を終えていました。しかしながらフランス大統領選挙の第1回投票の調査結果が伝わると、ユーロは日本時間4月24日早朝の外国為替市場で、対ドル、対円ともに大きく上昇しました。ユーロドルは一時1.0937ドル水準、ユーロ円は120円91銭水準をそれぞれつけています(図表1)。
一方、ドル円は先週金曜日に1ドル=109円09銭水準で取引を終えていましたが、日本時間4月24日早朝にはリスクオフ(回避)の修正が進み、110円64銭水準までドル高・円安が進行しています。なおトレンド系チャートのパラボリック・システムでは、トレンド転換のシグナルであるSAR(ストップ・アンド・リバース)は先週金曜日時点で110円02銭に位置していました。本日、ドル円の日足がこの水準を超えたため、短期的なドル高・円安トレンドへの転換が示唆されました(図表2)。
市場は仏大統領選とG20をまず無難に消化、今週は朝鮮半島情勢と、米大型減税案にも注目
フランス大統領選挙の第1回投票がほぼ予想通りの結果となったことに加え、4月21日に閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、為替が主要議題になることはなく、通貨安競争の回避など原則の確認にとどまったことは、円相場や日本株にとって安心材料と思われます。ただ今週は、改めて地政学リスクが市場で意識されやすくなる可能性もあり、注意が必要です。
北朝鮮では4月25日に朝鮮人民軍創設85周年を迎え、米空母カール・ビンソンも近く朝鮮半島近海に到着する見通しです。また一部報道によれば、トランプ米大統領は安倍首相と中国の習近平国家主席と電話会談を行う模様です。なおトランプ米大統領はまた4月21日に、大型減税を柱とする大統領案を4月26日にも公表する方針を明らかにしました。今週は朝鮮半島の情勢に加え、米大型減税案にも市場の関心が集まっています。
(2017年4月24日)
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