ドル円相場の短期テクニカル分析
市川レポート(No.374)ドル円相場の短期テクニカル分析
- トレンド系チャートでは、移動平均線と一目均衡表が、短期的な「ドル安・円高」のトレンドを示唆。
- この先1~2週間で115円水準を回復なら、短期的な「ドル安・円高」トレンドは消滅する可能性。
- ただしドル円はしばらくドル安・円高の動きに注意、108円レベルは比較的重要なチャートポイント。
トレンド系チャートでは、移動平均線と一目均衡表が、短期的な「ドル安・円高」のトレンドを示唆
今回はテクニカル分析を使って短期的なドル円相場の方向性について考えます。テクニカル分析で使用されるチャートは、一般に「トレンド系」と「オシレーター系」に分けられ、前者は相場のトレンド判断に、後者は相場の過熱感の判断に適しているとされます。はじめにトレンド系チャートの代表格である「移動平均線」、「一目均衡表」、「パラボリック・システム」で、ドル円の短期トレンドを確認します。
移動平均線をみると、ドル円の日足は21日線(4月4日時点で112円50銭付近)と90日線(同114円17銭付近)よりもドル安・円高水準にあり、200日線(同108円47銭付近)に接近しています。また一目均衡表では、三役逆転(日足が雲の下に位置、転換線が基準線の下に位置、遅行線が26日前の日足の下に位置)が確認されます(図表1)。これらはいずれも短期的な「ドル安・円高」トレンドの示唆と解釈されます。
この先1~2週間で115円水準を回復なら、短期的な「ドル安・円高」トレンドは消滅する可能性
4月4日時点で、移動平均線の90日線は114円17銭付近、一目均衡表の雲上限は115円10銭付近にそれぞれ位置しています。これらのレベルを勘案すれば、ドル円がこの先1~2週間でドル高・円安に振れ、115円をしっかりと超える水準まで回復した場合、移動平均線と一目均衡表における短期的な「ドル安・円高」トレンドの示唆は消滅する可能性があります。
一方、パラボリック・システムは、辛うじてドル高・円安トレンドを示唆しています(図表2)。このチャートでは、ドル円の日足がSAR(ストップ・アンド・リバース)に接した時点でトレンド転換と判断されます。本日SARは110円23銭付近に位置しているため、日足が取引時間中にこのレベルをつけると、ドル安・円高へのトレンド転換と解釈されます。
ただしドル円はしばらくドル安・円高の動きに注意、108円レベルは比較的重要なチャートポイント
次にオシレーター系チャートで相場の過熱感を確認しておきます。足元の「RSI(相対力指数)」は、ドルが売られ過ぎとされる30%水準を割り込んでいませんが、RSIよりも動きが速いとされる「ウィリアムズのR」は、売られ過ぎとされる-80%水準を若干割り込んでいます。ただ現時点でドル安の過熱を強く示唆するオシレーター系チャートは少なく、ドル円はしばらくドル安・円高方向の動きに警戒が必要と考えます。
ドル安・円高の目途としては、移動平均線における200日線(4月4日時点で108円47銭付近)や52週線(3月31日終了週で108円28銭付近)、またフィボナッチ・リトレースメントにおける2016年11月のドル安値(101円20銭付近)から2016年12月のドル高値(118円66銭付近)までの上げ幅からの61.8%押し水準(107円87銭付近)が挙げられます。すなわち108円レベルは比較的重要なチャートポイントと考えられます。
(2017年4月5日)
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