ダブルボトムとネックライン
市川レポート(No.220)ダブルボトムとネックライン
- ダブルボトムは下げ相場の転換局面の価格フォーメーションだが、足元では複数の市場にみられる。
- WTI原油先物とダウ平均について、計算上の目標値は43.50米ドル前後、17,550米ドル前後。
- 一方ドル円は依然ネックラインを上抜けられず、日経平均はダブルボトムも形成できていない状況。
ダブルボトムは下げ相場の転換局面の価格フォーメーションだが、足元では複数の市場にみられる
ダブルボトムとは、下げ相場の転換局面においてみられる価格フォーメーションの1種です。テクニカル分析のなかではリバーサルパターンという手法に属し、下落トレンドの転換点を捕える際に用いられます。ダブルボトムは一般に、①下落トレンドの終盤で底値(ボトム)をつけ、②いったん上昇するも反落、③しかしながら①の底値でサポートされ、④改めて上昇に転じる、という価格の動きによって形成されます。
②の動きによってできた山をネックラインといい、④の上昇で価格がこのネックラインを超えると一段高が示唆されます。その場合の目標値は、ダブルボトムからネックラインまでの値幅をネックラインに加算した水準になります。ダブルボトムとネックラインはこれまでのレポートで時々紹介してきましたが、足元で複数の市場に興味深い動きがみられるため、以下解説します。
WTI原油先物とダウ平均について、計算上の目標値は43.50米ドル前後、17,550米ドル前後
はじめにWTI原油先物価格の動きをみると、1月20日安値の1バレル=26.19米ドルと2月11日安値の26.05米ドルでダブルボトムをつけています。ネックラインは1月28日高値の34.82米ドルであるのに対し、3月7日終値は37.90米ドルです。すでに価格がネックラインを上抜けているため、前述の計算に基づき算出した目標値は、43.45米ドル~43.59米ドルになります。
次にダウ工業株30種平均の動きをみると、1月20日安値の15,450.56米ドルと2月11日安値の15,503.01米ドルでダブルボトムをつけています。ネックラインは2月1日高値の16,510.98米ドルであるのに対し、3月7日終値は17,073.95米ドルです。すでに価格がネックラインを上抜けているため、前述の計算に基づき算出した目標値は、17,518.95米ドル~17,571.40米ドルになります。
一方ドル円は依然ネックラインを上抜けられず、日経平均はダブルボトムも形成できていない状況
更にドル円をみると、2月11日安値の1米ドル=110円99銭水準と2月24日安値の111円04銭水準でダブルボトムをつけています。ネックラインは2月16日高値の114円87銭水準ですが、3月2日に114円56銭付近まで上昇したものの超えられず、3月7日のニューヨーク市場終値は113円46銭水準まで下がっています(図表1)。仮にダブルボトムを割り込み、ディセンディングトライアングルの形状になると、ドル安・円高の動きが加速する可能性があるため、注意が必要です。
なお価格フォーメーションを見る限り、日経平均株価はドル円より心もとない状況です。1月21日に16,017円26銭の安値をつけ、いったん上昇し2月1日に17,905円37銭の高値をつけて反落しました。ただ1月21日の安値でサポートされず、2月12日には14,865円77銭の二番底をつけました(図表2)。このようにリバーサルパターンの観点からは、米株と原油の一段高、ドル円と日本株の下値リスクが示唆されていますが、あくまでテクニカル分析上の1つの解釈と理解しておくことが大切です。
(2016年3月8日)
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