過去の米利上げ局面における為替と株価の動き(その1)

2015/06/23

市川レポート(No.98) 過去の米利上げ局面における為替と株価の動き(その1)

  • 米国の金融引き締めと日本の金融緩和で必ずしもドル高・円安にはならなかった。
  • 日米の株価は、米国の利上げ前に上昇し、利上げ後に下落するという傾向にあった。
  • しかしながら値動きの検証には、各時期の政治情勢や経済環境の確認も必要。

 

米国の金融引き締めと日本の金融緩和で必ずしもドル高・円安にはならなかった

 米連邦準備制度理事会(FRB)は早ければ9月16日、17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定する可能性が高いと思われます。米国の利上げは今年の金融市場における最大の材料とみており、為替や株価にも相応の影響を与えることが予想されます。そのため過去の利上げ局面において、為替や株価がどのように推移したかを整理しておくことは、先行きの相場をみる上で有効です。米国では、①1987年9月4日、②1994年2月4日、③1999年6月30日、④2004年6月30日が、直近4回の利上げサイクルにおける最初の利上げ実施日です。そこでドル円、ダウ工業株30種平均、日経平均株価について、利上げ実施日の前後それぞれ3カ月間における値動きを確認します。

 はじめにドル円の為替レートについて検証します。参考までに日銀の金融政策は、①~④の期間はいずれも緩和スタンスにありました。実際の動きをみると、①では利上げ前後ともドル安・円高が進行、②および③では利上げ前がドル高・円安、利上げ後はドル安・円高が進行、④では利上げ前後ともにドル高・円安が進行という結果でした(図表1)。米国の金融引き締めと日本の金融緩和という組み合わせはドル高・円安を連想しやすい材料ですが、過去において実際の相場は必ずしもその方向に動いていないということが分かります。 

日米の株価は、米国の利上げ前に上昇し、利上げ後に下落するという傾向にあった

 次にダウ工業株30種平均について検証します。①~④ともに利上げ前は上昇、利上げ後は下落という結果でした。日経平均株価も検証したところ、ダウ工業株30種平均とほぼ同じ動きとなりましたが、③のみ、利上げ前後ともに上昇という結果が確認されました。一般に、株価は利上げ開始前に警戒感から不安定になるものの、利上げ開始後は景気回復を背景に持ち直すというイメージがありますが、こちらも過去において実際の相場は必ずしもその方向に動いていないということが分かります。

しかしながら値動きの検証には、各時期の政治情勢や経済環境の確認も必要

 金融政策は、株価や為替などの資産価格に大きな影響を与える極めて重要な材料ですが、それだけで相場の方向性が決まるものではありません。金融政策という1つの材料のみに焦点をあてるのであれば、前述の為替や株価に関する一般的な連想やイメージは極めて合理的なものといえます。しかしながら実際の相場には、金融政策以外にも様々な材料が複数存在します。それらを巡る市場参加者の思惑が交錯するなかで、相場の方向性が形成されていきます。例えば市場参加者が予期していなかった材料が急浮上した場合、それが金融政策の影響を上回って相場展開を主導することは往々にして起こり得ます。そのため過去の利上げ局面における為替と株価の動きを検証するにあたっては、各時期の政治情勢や経済環境を改めて確認しておくことも必要と思われます。そこで次回のレポートでは①~④について、それぞれの時代背景を探って参ります。

 150623 図表1

 (2015年6月23日)

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