日銀12月利上げの可能性について考える
日銀12月利上げの可能性について考える
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- 最近の日銀審議委員の発言や各社報道を踏まえて、日銀の12月利上げ実施の可能性を探る。
- 各委員は慎重に利上げ時期を見極めている様子、各報道は植田総裁の円安警戒姿勢に注目。
- 今後の円相場と来週の植田総裁発言に注意、弊社は材料のそろう来年1月利上げ予想を維持。
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最近の日銀審議委員の発言や各社報道を踏まえて、日銀の12月利上げ実施の可能性を探る
市場ではこのところ、12月18日、19日に開催される日銀金融政策決定会合において、25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げが実施されるのではないかとの見方が徐々に広がりつつあります(図表1)。11月に入り、複数の日銀審議委員が講演や挨拶を行っており(図表2)、また、日銀の金融政策を巡る各社の報道も増えてきていることから、これらの内容を検証し、以下、12月の利上げの可能性を探ります。
はじめに日銀審議委員の発言からみていくと、中川順子審議委員は11月10日、経済・物価の見通しが実現していけば、金融緩和の度合いを調整する旨の考えを示し、従来の日銀の見解を繰り返しました。小枝淳子審議委員は11月20日、基調的な物価上昇率について、総合的にみて「2%ぐらいになってきている」と述べ、「金利の正常化を進めることが、将来に意図せざる歪みをもたらさないためにも必要である」と主張しました。
各委員は慎重に利上げ時期を見極めている様子、各報道は植田総裁の円安警戒姿勢に注目
増一行審議委員は日本経済新聞の取材に対し(11月20日に実施)、「経済や物価の情勢をみると、利上げをしていい環境は整ってきていると思う」と述べました。また、野口旭審議委員は11月27日、「政策調整のタイミングを注意深く、適切に遅すぎず早すぎず進めなければいけない状況に今入っている」と発言しました。各審議委員の発言からは、利上げが近づいているものの、慎重にその時期を見極めたいとする様子がうかがえます。
なお、植田和男総裁は11月21日の衆院財務金融委員会で、「円安進行などの経路を通じた物価上昇が予想物価上昇率への影響を通じて、基調的な物価上昇率に影響する可能性についても留意していかないといけない」と語りました。その後、時事通信社は11月25日、日銀は円安について、輸入物価の押し上げ要因になるが一時的との従来の見解を、利上げ判断の前提となる基調的な物価上昇率に影響を与え得るとの考えに修正したと報じました。
今後の円相場と来週の植田総裁発言に注意、弊社は材料のそろう来年1月利上げ予想を維持
ロイター通信も11月26日、植田総裁は円安が基調的な物価上昇率に影響する可能性に初めて言及したとして、市場への情報発信を変えてきていると報じました。そのため、12月の政策判断を見通す上では、今後の円相場の動向も重要と思われ、12月1日に予定されている植田総裁の発言(名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶)に改めて注目が集まります。
弊社は日銀の25bpの利上げ時期について、2026年1月との見方を維持しています。1月会合では、「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」が公表され、また、1月会合前に開催される日銀支店長会議では、企業側からの情報で、植田総裁が10月に言及した「春季労使交渉(春闘)の初動のモメンタム(勢い)」を確認できると思われます。そのため、利上げについて政府の理解を得やすいのは、より判断材料のそろう1月会合と考えています。
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- (2025年11月28日)
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