レンジ内での推移が続く日経平均株価~上抜けの材料を考える

2025/01/31

レンジ内での推移が続く日経平均株価~上抜けの材料を考える

    • レンジ上抜け材料として、米関税政策、国内企業業績、DeepSeekショック、賃上げなどに注目。
    • 米関税引き上げが行き過ぎず、国内企業の業績予想の上方修正が顕著なら、株価の追い風に。
    • DeepSeekショック消化、賃上げ継続、資本効率改善進展、政局混乱回避ならレンジ上抜けも。

レンジ上抜け材料として、米関税政策、国内企業業績、DeepSeekショック、賃上げなどに注目

日経平均株価は、2024年9月下旬以降、おおむね38,000円から40,000円のレンジ相場を形成し、方向感に欠ける相場展開が続いています。背景には、トランプ大統領の関税政策への警戒や、日本企業の業績への懸念などがあると思われますが、今週は、中国の低コスト・高性能の最新AI(人工知能)の登場で、世界の半導体関連株が急落するという、いわゆる「DeepSeekショック」が発生し、日経平均を押し下げました。

今回のレポートでは、日経平均がレンジの上限である40,000円を上抜けるための材料について考えます。引き続き注目すべきは、トランプ氏の関税政策と日本企業の業績に関する動きですが、これらに加え、直近のDeepSeekショックや、日本国内の賃上げ、企業の資本効率改善、政局についても見極めが必要と思われ、それぞれがどのような方向に向かえば、日経平均のレンジ上抜けにつながるか、考察していきます。

米関税引き上げが行き過ぎず、国内企業の業績予想の上方修正が顕著なら、株価の追い風に

弊社はトランプ氏の関税政策について、中国には現状の平均20%を段階的に40%まで引き上げ、それ以外の国は個別交渉と考えており、この流れに沿った展開となれば、関税政策への過度な警戒が後退し、日経平均には追い風になるとみています。まずは、2月1日にメキシコ、カナダ、中国に対する関税措置の有無が焦点となりますが、仮に関税引き上げとなった場合でも、今後の交渉で撤回される余地は残ると思われます。

日本企業の業績について、東証株価指数(TOPIX)を構成する3月期決算企業(金融とソフトバンクグループを除く)自身による今年度の純利益予想は、前回4-9月期の決算発表を終えた時点で、前年同期比で若干のマイナスとなっています。今週から本格化する4-12月期の決算発表で、上方修正の動きが顕著にみられるようであれば、日本株の買い材料になり得ると考えています。

DeepSeekショック消化、賃上げ継続、資本効率改善進展、政局混乱回避ならレンジ上抜けも

DeepSeekショックは、1月28日付レポートで解説した通り、現段階で過度な悲観は不要で、市場で消化が進めば(図表1)、日経平均への影響も次第に小さくなるとみています。また、2025年の平均賃上げ率は引き続き5.1%程度を想定しており、実質賃金の前年同月比の伸びは、物価の落ち着きで年後半にプラスの定着を見込んでいます。企業の資本効率改善も、東京証券取引所の主導のもと、投資家が評価する取り組みの開示の増加が期待されます。

政局は、年度内に2025年度予算と税制改正関連法が成立し、参議院選挙の流れになれば、まずは大きな混乱は回避されると思われます。以上をまとめたものが図表2で、各項目が日経平均の追い風となる方向に向かえば、レンジ上抜けの材料になる可能性が高まると考えます。弊社は年度末(2025年3月末)の日経平均の着地を40,500円と想定しており、4月からの新年度入り後に、レンジを上抜けていく展開を予想しています。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

 

 

 

 

(2025年1月31日)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会