日銀政策決定会合レビュー~0.25%の追加利上げを決定
日銀政策決定会合レビュー~0.25%の追加利上げを決定
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- 日銀は0.25%の利上げを決定、ただ先週の総裁・副総裁の発言などから市場には織り込み済み。
- 展望レポートの物価見通しは利上げ継続の材料に、総裁発言から次の利上げ時期を探る流れへ。
- 恐らく発言に明確な手掛かりは乏しく、市場は今後物価などのデータを丁寧に検証することになろう。
日銀は0.25%の利上げを決定、ただ先週の総裁・副総裁の発言などから市場には織り込み済み
日銀は1月23日、24日に金融政策決定会合を開催し、無担保コール翌日物金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げ、0.25%程度から0.50%程度にすることを決定しました。利上げは昨年7月以来、約半年ぶりとなりますが、無担保コール翌日物金利の誘導目標が0.50%に達するのは、2008年10月以来のこととなり、緩和環境の修正が一段と進みました。
今回の政策決定については、1月14日に氷見野良三副総裁が、15日と16日には植田和男総裁が、それぞれ講演や挨拶で、今会合で利上げを議論するという明確なメッセージを事前に発信し、複数のメディアも利上げの可能性を報じていました。そのため、利上げはすでに織り込み済み(翌日物金利スワップ(OIS)市場での利上げ確率は1月24日の朝方で95%)となっていました。
展望レポートの物価見通しは利上げ継続の材料に、総裁発言から次の利上げ時期を探る流れへ
また、今回は「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」が公表され、経済と物価に関する政策委員の最新の大勢見通しが示されました。詳細は図表1通りで、生鮮食品を除く消費者物価指数と生鮮食品・エネルギーを除く消費者物価指数は、ともに見通し期間の2026年度にかけて2%程度で推移する見方が確認され、日銀の利上げ継続を可能とする1つの材料と判断されます。
この後、15時30分から開催される植田総裁の記者会見では、今回の利上げ判断に至った経緯が説明されると思われますが、市場の関心はすでに次の利上げ時期に移っていると考えられます。注目点は、2025年の春季労使交渉(春闘)のモメンタム(勢い)、トランプ政権の経済政策を巡る不確実性、円相場、輸入物価、実質金利に関する植田総裁の見解であり、その内容から、次の利上げまでの時間をはかることになるとみています。
恐らく発言に明確な手掛かりは乏しく、市場は今後物価などのデータを丁寧に検証することになろう
しかしながら、植田総裁が今回の記者会見において、次の利上げ時期に関する明確な手掛かりを示す可能性は低いと思われます。これは、市場とのコミュニケーションに関する日銀の考え方によるところが大きく、氷見野副総裁は前述の1月14日の講演で、金融政策を巡るコミュニケーションのあり方について、「3点ほど感想」という形で、お話をされています(図表2)。
ポイントは、多くの中央銀行が、決定会合までのデータに基づき、会合ごとに判断していくことを基本線としており、結論をあらかじめ市場に完全に織り込ませるコミュニケーションは不可能と述べている点です。これを踏まえると、やはり日銀が次の利上げ時期に関する明確な手掛かりを事前に示す公算は小さいと推測され、市場は今後、物価や賃金のデータを丁寧に検証しながら、次の利上げ時期を探っていくことになると考えています。
(2025年1月24日)
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