与党過半数の攻防報道で予想される株価の動きと各党の公約を再確認する
与党過半数の攻防報道で予想される株価の動きと各党の公約を再確認する
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- 与党過半数割れは株安要因だが選挙後の政権の対応次第で株安は短期的なものになることも。
- 政権交代なら新政権が早期に政局不安を払拭し、経済政策を実行できるかが株価回復のカギ。
- 過半数維持なら株高へ、次回参院選も勝利なら政権安定で好材料、ただ防衛増税には要注意。
与党過半数割れは株安要因だが選挙後の政権の対応次第で株安は短期的なものになることも
第50回衆議院議員総選挙(定数465議席)の終盤情勢に関する報道では、与党の自由民主党(以下、自民党)と公明党の議席数が公示前勢力(279議席)を下回り、過半数(233議席)を割り込む可能性を指摘するものが目立っています。10月21日付レポートでは、与党の獲得議席数別に予想される日経平均株価の反応をまとめましたが、今回は与党の過半数割れのケースをもう少し詳しくみていき、それに関連する各党の公約を再確認します。
与党の過半数割れは株安要因と考えられますが、その度合いにより、株価への影響は異なるものと思われます。図表1は、過半数割れの度合いを大小3つのケースに分け、想定される日経平均の動きをまとめたもので、過半数割れの度合いが大きいほど、株価の下げ幅は拡大する可能性が高いとみています。ただ、選挙後の政権の対応次第で、株安は短期的なものになることも十分期待されます。
政権交代なら新政権が早期に政局不安を払拭し、経済政策を実行できるかが株価回復のカギ
ケース①について、与党が来年夏の参議院選挙を意識し、大型の経済対策を打ち出せば、内容次第で株式市場が好感することも予想されます。また、自民党内でポスト石破の動きが強まれば、次期総裁を巡る思惑に株価が左右されることも考えられます。ケース②について、野党が3党連立に応じるか否かが焦点となりますが、日本維新の会の馬場伸幸代表、国民民主党の玉木雄一郎代表とも、連立政権入りを否定しています。
3党連立のため、与党が経済政策を野党との交渉材料にした場合、財政拡張色が強まり(図表2)、こちらも内容次第で株価が反応することも見込まれます。そして、ケース③は政権交代です。報道では立憲民主党が議席数を伸ばす見通しですが、連立模索の公算が大きいと思われます。新政権が、いかに早い段階で各党の公約を調整して基盤を安定させ、政局不安を払拭し、経済政策を実行していくかが、株価持ち直しのカギになると考えます。
過半数維持なら株高へ、次回参院選も勝利なら政権安定で好材料、ただ防衛増税には要注意
足元の日経平均は、総じて上値の思い展開が続いており、すでに与党の過半数割れのリスクを相応程度、織り込む流れにあると推測されます。そのため、与党の過半数維持という結果になれば、株価はいったん上昇する動きが予想されます。ただ、自民党単独で過半数割れとなれば、石破茂首相の求心力が低下する恐れがあり、前述のように、次期総裁を巡る思惑に株価が左右されることも考えられます。
今回、与党が過半数を維持し、次の参議院選挙でも勝利すれば、政権安定の観点では株価に好ましいといえます。なお、与党が2回の選挙を経て、国民の信を得たと判断すれば、「防衛増税」(2027年度までに法人税、所得税、たばこ税で計1兆円規模を賄う方針)の議論の進展が注目されます。石破首相は「負担能力のある方々、あるいは法人に負担を頂く」見解を示しており、防衛増税が株式市場の警戒を強める材料になることも予想されます。
(2024年10月25日)
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