東証要請への取り組み開示の進展状況を確認する

2024/03/07

東証要請への取り組み開示の進展状況を確認する

    • 東証は1月15日、要請への取り組み開示企業一覧表を公表、最新分は2月15日に公表された。
    • 1カ月の短期間だが、プライム市場上場の開示済み割合は44%と、前回の40%から着実に進展。
    • 3月期企業の開示済み割合は50%超、投資家の関心は次第に企業価値向上の成果に移ろう。

東証は1月15日、要請への取り組み開示企業一覧表を公表、最新分は2月15日に公表された

東京証券取引所(以下、東証)は2023年3月31日、プライム市場およびスタンダード市場の全上場会社に対し、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を行いました。その後、対応を進めている企業の状況を投資家に周知し、企業の取り組みを後押しするため、東証は2024年1月15日、要請に基づき開示している企業の一覧表を公表しました。

一覧表は、月末時点で直近のコーポレート・ガバナンス(CG)報告書に基づき更新され、翌月15日を目途に毎月公表されます。CG報告書に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」という文言があれば「開示済み」、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(検討中)」という文言があれば「検討中」として集計され、いずれの文言も記載がなければ一覧表には掲載されません。最新分は2月15日に公表されました。

1カ月の短期間だが、プライム市場上場の開示済み割合は44%と、前回の40%から着実に進展

前回1月15日公表の一覧表では、プライム市場1,656社のうち、開示済みは660社(40%)、検討中は155社(9%)、記載なしは841社(51%)でしたが、今回2月15日公表の一覧表では、プライム市場1,655社のうち、開示済みは726社(44%)、検討中は173社(10%)、記載なしは756社(46%)となりました(図表1)。1カ月という比較的短い期間ではあるものの、開示は着実に進展していると判断されます。

この1カ月の変化についてもう少し詳しくみていくと、開示済みは66社増、検討中は18社増、記載なしは85社減となりました。内訳は、開示済みから検討中へ変更が1社、検討中から開示済みへの変更が1社、掲載なしから開示済みへの変更が66社、掲載なしから検討中への変更が18社となっています。また、1社が上場廃止となりましたが、掲載なしの企業でした。

3月期企業の開示済み割合は50%超、投資家の関心は次第に企業価値向上の成果に移ろう

なお、東証は2023年8月29日に一度、3月期決算企業を対象として、企業名を出さない形で開示状況を公表した経緯があります。3月期決算企業の開示状況については、その後、2024年1月15日にも参考資料として公表されましたが、2月15日には公表がありませんでした。そこで、2月15日の一覧表を基に、3月期決算企業を対象とした開示状況を確認してみます。

結果は図表2の通りで、開示済みは52%、検討中は12%、記載なしは36%となり、プライム市場に上場する3月期決算企業の開示済み割合は50%を超えてきました。一覧表は今後、毎月公表され、企業の取り組み開示は引き続き着実に進展していくと思われます。ただ、時間の経過とともに、投資家の関心は、開示の有無ではなく、中長期的な企業価値向上の実現に向けた取り組みが適切に行われ、具体的な成果を得られるかに移行するとみています。

 

(2024年3月7日)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
市川レポート 経済・相場のここに注目   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ