東証は資本コストや株価を意識した経営実現の後押し強化へ
東証は資本コストや株価を意識した経営実現の後押し強化へ
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- 東証は、資本コストや株価を意識した経営実現に向け、取り組みを開示している企業名を公表へ。
- 企業名は一覧表で公表、コーポレート・ガバナンス報告書における対応文言にて開示状況を判断。
- 東証の企業名を公表する方針は資本効率改善の動きを加速させる公算が大きく高く評価できる。
東証は、資本コストや株価を意識した経営実現に向け、取り組みを開示している企業名を公表へ
東京証券取引所(以下、東証)は3月31日、上場企業に対し、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応などを要請しました。具体的な要請の内容は、①資本コストや資本収益性の的確な把握と取締役会での現状分析、②改善に向けた計画の策定と投資家への開示、③計画に基づく経営の推進と投資者との対話の実施、この3点を継続的に実施するというものです。
その後、8月29日には、上場企業による取り組みの開示状況が公表されましたが、具体的な取り組みなどを開示した企業の割合は、プライム市場で20%、スタンダード市場では4%にとどまりました(図表1)。このような状況を踏まえ、東証は10月26日、対応を進めている企業の状況を投資家に周知し、企業の取り組みを後押しする観点から、東証の要請に基づき開示している企業名を一覧表で公表する方針を明らかにしました(図表2)。
企業名は一覧表で公表、コーポレート・ガバナンス報告書における対応文言にて開示状況を判断
対象となるのは、プライム市場およびスタンダード市場の全上場企業で、株価純資産倍率(PBR)の水準にかかわらず、東証の要請を受け、資本効率改善への取り組みを開示している企業の一覧表が公表されます。一覧表に掲載される項目は、証券コード、企業名、市場区分、業種、要請に基づく開示状況(開示済/検討中の別)、英文開示の有無、が予定されています。
開示状況の判断は、コーポレート・ガバナンス(CG)報告書の「CGコードの各原則に基づく開示」欄、もしくは「CGコードの各原則を実施しない理由」欄における文言によります。これらの欄に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」という文言があれば「開示済」、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(検討中)」という文言があれば「検討中」として集計され、いずれの文言もなければ一覧表には掲載されません。
東証の企業名を公表する方針は資本効率改善の動きを加速させる公算が大きく高く評価できる
一覧表は、日本取引所グループのウェブサイトで公表され、日本語版と英語版が掲載されます。初回は、2023年12月末時点のCG報告書の状況に基づいて集計を行い、2024年1月15日に公表される予定です。その後は、各月末時点の状況に基づき、翌月15日を目途として一覧表は毎月更新されることになります。また、東証は2024年1月を目途に、投資家の高い支持が得られた取り組みの事例などを公表する見通しです。
東証による今回の企業名公表の方針は、資本効率改善の動きを加速させる公算が大きく、高く評価できると思われます。PBR1倍超の企業を含め、上場企業に資本コストや資本収益性を意識した経営がさらに広がり、また、上場会社との対話の担い手となる機関投資家が、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向け、建設的な対話を実施していけば、国内外の日本株に対する評価は一層高まると期待されます。
(2023年10月31日)
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