テクニカル分析上は過去最高値までの戻りが視野に入った日経平均株価
テクニカル分析上は過去最高値までの戻りが視野に入った日経平均株価
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- 日経平均はフィボナッチの76.4%戻しを突破し、過去最高値38,915円87銭への戻りが視野に。
- 幅はあるが長期上昇トレンドが示す6月末頃の下値目途は27,250円、上値目途は33,550円。
- 長期上昇トレンド継続でも過去最高値まで数年か、上昇トレンド継続のカギは業績相場の形成。
日経平均はフィボナッチの76.4%戻しを突破し、過去最高値38,915円87銭への戻りが視野に
日経平均株価は6月5日、32,217円43銭で取引を終え、1990年7月20日以来となる約33年ぶりの高値をつけました。また、前営業日からの上げ幅は693円21銭に達し、今年最大となりました。5月18日付レポートでは、テクニカル分析を用いて、日経平均の上値目途を解説しましたが、上昇が続く日経平均の足元の動きを踏まえ、改めて上値の目途を確認してみます。
日経平均の過去最高値は1989年12月29日の38,915円87銭、過去最安値は2009年3月10日の7,054円98銭です(終値ベース)。この下げ幅(31,860円89銭)から、「フィボナッチ・リトレースメント」で目安とされる「76.4%戻し」は31,396円70銭で、ここが1つの上値目途でした。ただ、日経平均は6月2日の終値(31,524円22銭)でこの水準を超えたため(図表1)、過去最高値までの「100%戻し(全値戻し)」が視野に入りました。
幅はあるが長期上昇トレンドが示す6月末頃の下値目途は27,250円、上値目途は33,550円
次に、日経平均の「長期上昇トレンド」に目を向けます。長期上昇トレンドは、2012年10月安値と2016年6月安値を結んだ「下値支持線」と、2013年5月高値と2018年1月高値を結んだ「上値抵抗線」で形成されています(図表2)。日経平均はここ10年ほど、おおむね長期上昇トレンドに沿って推移しており、足元の株高もこのトレンド内の動きです。そのため、上昇ペースはかなり速いものの、上昇の動き自体に違和感はありません。
長期上昇トレンドを形成する下値支持線と上値抵抗線は、6月末時点でそれぞれ27,250円と33,550円に位置しています。そのため、6月末近くにおける日経平均の下値目途は下値支持線の27,250円、上値目途は上値抵抗線の33,550円とみることができます。長期トレンドのため、上下の幅はかなりありますが、その分、仮に日経平均が今月中に30,000円台まで大幅な調整が進んでも、長期上昇トレンドは不変と解釈されます。
長期上昇トレンド継続でも過去最高値まで数年か、上昇トレンド継続のカギは業績相場の形成
前述の通り、フィボナッチ・リトレースメントは、日経平均の過去最高値(38,915円87銭)までの全値戻しを示唆しています。そこで、全値戻しの達成時期について考えてみます。長期上昇トレンドを形成する下値支持線と上値抵抗線を、単純に数年先まで延長してみると、上値抵抗線は2026年6月末に38,950円へ到達し、上値抵抗線と下値支持線の中央線は2028年3月末に38,950円へ到達します。
これは長期上昇トレンドの継続を仮定した1つの目安ですが、長期上昇トレンドは日銀の異次元緩和に起因する「金融相場」に支えられている面も大きいため、日銀の政策変更時には特に注意が必要です。ただ、ここから先、国内企業の資本効率改善と稼ぐ力が高まっていけば、金融相場にかわって「業績相場」が長期上昇トレンドを支え、日経平均の過去最高値までの全値戻しに対する期待が続くことも想定されます。
(2023年6月6日)
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