テクニカル分析で考えるドル高・円安トレンドの持続性~8月12日以降の動き

テクニカル分析で考えるドル高・円安トレンドの持続性~8月12日以降の動き

  • ドル円の一目均衡表は、8月11日時点で非常に強いドル売りシグナルの「三役逆転」に近づいた。
  • ただその後は雲の下限である先行スパン2にしっかり支えられ、ドル高・円安方向へ切り返す展開に。
  • 一目均衡表は「三役好転」が完成、非常に強いドル買いシグナルで、140円超えに違和感はない。

ドル円の一目均衡表は、8月11日時点で非常に強いドル売りシグナルの「三役逆転」に近づいた

8月12日付レポート「テクニカル分析で考えるドル高・円安トレンドの持続性」では、トレンド系チャートの代表格である「一目均衡表」に注目し、年初からのドル高・円安のトレンドについて、その持続性を考えました。一目均衡表は、「転換線」、「基準線」、「先行スパン1」、「先行スパン2」、「遅行線」という5つの線で構成され、これら5つの線と日足の位置関係でトレンドを分析します。

例えば、①転換線が基準線を下抜けている、②遅行線が日足を下抜けている、③日足が雲(先行スパン1と先行スパン2に挟まれた領域)を下抜けている、という3つの条件がそろうと、「三役逆転」という、非常に強い売りシグナルと解釈されます。8月12日付レポートの一目均衡表(8月11日時点、図表1)では、転換線が基準線を下抜け、遅行線が日足を下抜けており、三役逆転のうち、2つの条件がそろっていました。

ただその後は雲の下限である先行スパン2にしっかり支えられ、ドル高・円安方向へ切り返す展開に

そのため、当時は、ドル円が雲の下限である先行スパン2を大きく下抜けると、年初からのドル高・円安トレンドは、いったん終了となる可能性を指摘しました。一方で、ドル円が先行スパン2に支えられ、大きくドル高・円安方向に切り返せば、前述の①から③がすべて上抜ける「三役好転」となり、年初からのドル高・円安トレンドが継続することも考えられると説明しました。

先行スパン2の具体的な水準は、8月12日が131円68銭、15日と16日が132円05銭、17日が132円11銭で、18日から9月7日まで132円88銭でした。各日において、ドル円のニューヨーク市場終値が、先行スパン2を大きく下回れば、ドル高・円安トレンドは終了となったのですが、結局、ドル円は先行スパン2がサポートとなり、ドル高・円安方向へ切り返しました(図表2)。

一目均衡表は「三役好転」が完成、非常に強いドル買いシグナルで、140円超えに違和感はない

現在、一目均衡表は「三役好転」が完成しており、非常に強いドル買いシグナルを発しています。そのため、テクニカル分析上、この先1ドル=140円を超えてドル高・円安が進行しても、違和感はありません。なお、前回140円をつけたのは、1998年8月31日ですが、ここからドル高・円安の方向については、同年8月11日につけた147円66銭水準まで、節目らしい節目がありません。

1998年は、ロシア危機や米大手ヘッジファンドの破綻を主因に、夏場以降、大幅なドル安・円高が進行し、1日の値幅は拡大しました。参考までに、140円をつけた1998年8月31日のドル高値は142円46銭水準、安値は138円83銭水準でした。当面、ドル高・円安基調は続くと思われますが、一目均衡表の雲は9月中旬以降、非常に細くなっており、ドル安・円高に振れた場合、8月中旬のようなサポートは期待しにくく、やや注意が必要です。

 

 

(2022年9月1日)

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