自民党の派閥と岸田首相の政権運営という観点からみる日本株
自民党の派閥と岸田首相の政権運営という観点からみる日本株
- 党最大派閥は清和政策研究会(安倍派)94人、第2派閥は平成研究会(茂木派)54人。
- 第3派閥は志公会(麻生派)で約50人、宏池会(岸田派)と志帥会(二階派)は40人超。
- 24年の総裁任期満了まで支持率と派閥動向に注目、状況次第で株価の波乱材料となることも。
党最大派閥は清和政策研究会(安倍派)94人、第2派閥は平成研究会(茂木派)54人
今回のレポートでは、自民党の派閥の歴史を紐解き、今後の派閥動向が、岸田首相の政権運営や日本株に与える影響について考えます。自民党の最大派閥は「清和政策研究会(安倍派)」で、会員数は94人です(図表)。同会は、安倍晋三氏の祖父・岸信介氏の派閥を源流とし、福田赳夫元首相が1979年に創設しました(当初名称は「清和会」)。現在、塩谷立、下村博文両会長代理を中心に運営されており、名称も安倍派のままです。
第2派閥は「平成研究会(茂木派)」で、会員数は54人です。派閥の源流は吉田派までさかのぼります。吉田派は、1957年に「周山会(佐藤派)」と「宏池会(池田派)」に別れ、1972年に佐藤派から「七日会(後の木曜クラブ、田中派)」が独立し、1987年には田中派から「経世会(竹下派)」が独立しました。経世会は1994年に平成政治研究会に名称変更し、さらに1995年には平成研究会に名称を変更しました。
第3派閥は志公会(麻生派)で約50人、宏池会(岸田派)と志帥会(二階派)は40人超
第3派閥は「志公会(麻生派)」で、会員数は50人とみられます。同会は前述の宏池会の流れをくみ、1999年に河野洋平氏が加藤紘一氏と対立して宏池会を脱退、「大勇会」を立ち上げました。その後、麻生太郎氏が、2006年に大勇会を継承しつつ、新たに「為公会」を旗揚げしました。そして2017年、「番町政策研究所(山東派)」との合流により、志公会が発足しました。
「宏池会(岸田派)」と「志帥会(二階派)」の会員数は、ともに40人を超えるとみられます。志帥会の源流は、春秋会(河野派)から1966年に独立した新政同志会(中曽根派)までさかのぼります。1998年に、山崎拓氏が「近未来政治研究会」を結成して分離・独立した後、会長の村上正邦氏が、亀井静香氏のグループと合流し、1999年に志帥会が発足しました。なお、近未来政治研究会は現在、森山派となっています。
24年の総裁任期満了まで支持率と派閥動向に注目、状況次第で株価の波乱材料となることも
岸田文雄首相(自民党総裁)のもと、2021年10月1日に発足した自民党新執行部は、安倍前首相や麻生副総理に配慮した顔ぶれとなり、続く4日に発足した新内閣も、自民党の派閥を重視する姿勢がうかがえました。報道によると、岸田首相は党役員人事と内閣改造を2022年9月前半実施で検討に入った模様ですが、岸田首相は「結束が大事」と述べており、今回も党内の派閥に配慮する公算が大きいと思われます。
なお、自民党総裁の任期は2024年9月に満了するため、その間、岸田内閣の支持率と派閥の動向が注目されます。日本株の観点からは、支持率安定で総裁再選なら、株価には好材料と考えられます。一方、何らかの理由で支持率が急低下し、総裁選に向けてポスト岸田の動きが加速すれば、派閥再編などを含め政局の不透明感が一気に強まることも予想され、株価の波乱材料となる恐れがあり、注意が必要です。
(2022年7月26日)
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