前回の米金融政策正常化局面におけるバリュー株とグロース株

2022/01/14

前回の米金融政策正常化局面におけるバリュー株とグロース株

  • 米金融政策正常化が進んだ2014年から2018年までのバリュー株とグロース株の動きを検証する。
  • 各年の騰落率と全期間の騰落率をみると米国では総じてグロース株のパフォーマンスが良好だった。
  • 日本も同じ結果、米金融政策正常化は必ずしも長期金利上昇、バリュー株優位にはつながらず。

米金融政策正常化が進んだ2014年から2018年までのバリュー株とグロース株の動きを検証する

今回のレポートでは、米連邦準備制度理事会(FRB)が、過去に金融政策の正常化を進めた際、バリュー株とグロース株はどのように動いたかを検証します。具体的には、S&P500バリュー指数とS&P500グロース指数について、2014年から2018年までの各年の騰落率と、全期間を通じた騰落率を比較します。また、長期金利との関係をみるため、米10年国債利回りの変化幅も確認します。

はじめに、2014年からみていきます。この年は、1月に量的緩和の縮小(テーパリング)が開始され、同年10月に終了しましたが、S&P500バリュー指数は9.6%上昇、S&P500グロース指数は13.0%上昇、米10年国債利回りは86ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下しました。次に、12月に利上げ開始となった2015年は、S&P500バリュー指数が5.6%下落、S&P500グロース指数は3.8%上昇、米10年国債利回りは10bp上昇しました。

各年の騰落率と全期間の騰落率をみると米国では総じてグロース株のパフォーマンスが良好だった

2016年も12月に1回の利上げが行われましたが、S&P500バリュー指数は14.3%上昇、S&P500グロース指数は5.1%上昇、米10年国債利回りは17bp上昇しました。2017年は、3月、6月、12月に追加利上げが行われ、10月にFRBのバランスシート縮小が始まりました。この年、S&P500バリュー指数は12.6%上昇、S&P500グロース指数は25.4%上昇、米10年国債利回りは4bp低下しました。

そして、2018年は、3月、6月、9月、12月に追加利上げが行われ、S&P500バリュー指数は11.3%下落、S&P500グロース指数は1.4%下落、米10年国債利回りは28bp上昇しました。最後に、2014年から2018年までの5年間でみた場合、S&P500バリュー指数は18.1%上昇、S&P500グロース指数は52.4%上昇、米10年国債利回りは34bp低下、という結果になりました。

日本も同じ結果、米金融政策正常化は必ずしも長期金利上昇、バリュー株優位にはつながらず

以上の動きをまとめたものが図表1になります。FRBが金融政策の正常化を進めた2014年から2018年までの期間において、S&P500バリュー指数の年間騰落率がS&P500グロース指数を上回ったのは2016年のみでした。また、全期間を通じてみると、米国債の利回りは、利上げの影響で2年が上昇する一方、期待インフレ率の抑制で10年は低下、S&P500バリュー指数の騰落率はS&P500グロース指数を大きく下回りました。

一般に、米金融政策の正常化が進むと、長期金利が上昇し、バリュー株が優位になるとの見方は多いのですが、前回の正常化局面では、必ずしもそのような動きになりませんでした。また、図表2は、東証株価指数(TOPIX)のバリュー指数とグロース指数の動きを比較したものですが、結果は米国のケースと同じでした。この先、米国で金融政策の正常化が進む見通しですが、バリュー株の動向は慎重にみておく必要があると思われます。

 

 

(2022年1月14日)

 

市川レポート バックナンバーはこちら

http://www.smam-jp.com/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
市川レポート 経済・相場のここに注目   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

コラム&レポート Pick Up

このページのトップへ