改めて考える日経平均株価の下値目途
改めて考える日経平均株価の下値目途
- 新型肺炎の世界的な感染拡大と、米国経済への懸念から、主要国では株価指数が大きく下落。
- 日経平均が200日線の22,200円を割り込めば、昨年10月の窓埋めの21,800円などが目途に。
- 感染ピークアウトの後ずれが織り込まれるなか日経平均は下値リスクをはらみつつ反発の材料待ち。
新型肺炎の世界的な感染拡大と、米国経済への懸念から、主要国では株価指数が大きく下落
主要国の株価指数は足元で大きく下落しています。背景には、韓国やイタリアなどで新型肺炎の感染者数が急増し、世界的な感染の拡大と、米国経済への懸念が急速に強まったことがあると思われます。米国では、21日に発表されたIHSマークイットの2月分総合購買担当者景気指数(PMI)が景況感の節目とされる50を下回り、米疾病対策センター(CDC)は25日、国内のコミュニティーで感染が広がるのは時間の問題と警告しています。
ダウ工業株30種平均は、2月24日に前営業日比で約1,032ドル下落すると、翌25日も約879ドル下落し、一時27,000ドルを割り込みました。日経平均株価も3連休明けの25日、前営業日比で約781円下落しました。日経平均株価の下値目途については、1月28日付レポート「動揺が続く金融市場と日経平均株価の下値目途」で一度解説していますが、以下、改めて検証します。
日経平均が200日線の22,200円を割り込めば、昨年10月の窓埋めの21,800円などが目途に
1月28日付レポートでは、日経平均株価が節目の23,000円を割り込んだ場合、下値目途は22,700円近辺、22,200円近辺としていました。日経平均株価は2月25日、取引時間中に22,335円21銭の安値をつけ、下値目途である22,200円水準に近接しました。なお、22,200円水準は、本日200日移動平均線が位置するレベルであり、比較的強いサポートになるとみています(図表1)。
仮に200日移動平均線を下抜け、2019年10月に開けた窓を埋める流れとなれば、11日高値の21,820円77銭、10日高値の21,601円46銭が視野に入ります。なお、重症急性呼吸器症候群(SARS)の症例確認から終息宣言までにおける日経平均株価の動きを、今回の新型肺炎のケースにそのまま当てはめた場合、日経平均株価は6月中旬に21,150円近辺まで下落し、その後、上昇することになります(図表2)。
感染ピークアウトの後ずれが織り込まれるなか日経平均は下値リスクをはらみつつ反発の材料待ち
もちろん、SARS流行時の日経平均株価の動きが、そのまま今回にもあてはまるとは限りませんので、21,150円近辺という数字は1つの参考値に過ぎません。ただ、新型肺炎の感染力はSARSを上回る勢いで、市場の警戒感は強まっています。なお、弊社では、新型肺炎の感染者数について、1-3月期のピークアウトを想定していますが、市場は4-6月期にずれ込むシナリオを一気に織り込み始めたように見受けられます。
現在、多くの国で利下げが行われ、世界の金融環境は極めて緩和的な状況に変わりはありません。また、中国などが積極的な景気対策を打ち出しており、主要国の金融・財政政策は、株価を支える方向にあります。日経平均株価については、下値リスクをはらみつつも、感染者数のピークアウトや、中国サプライチェーンの復旧など、株価反発の材料を待つことになると思われます。
(2020年2月26日)
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