日経平均株価の押し上げに貢献した主な銘柄
市川レポート 日経平均株価の押し上げに貢献した主な銘柄
- 日経平均は8月末から2,600円近く上昇、このうち25%は寄与度上位5銘柄のみの上昇による。
- 寄与度上位5銘柄はいずれも値がさ株だが、騰落率の観点からは、それほど目立ったところはない。
- 日経平均はその構成上、外需銘柄の動きに敏感で、特に外需の値がさ株の影響を大きく受ける。
日経平均は8月末から2,600円近く上昇、このうち25%は寄与度上位5銘柄のみの上昇による
日経平均株価は、米中貿易摩擦問題が再燃した8月に大きく値を崩した後、9月以降は反転し、上昇する展開となりました。11月5日には、23,251円99銭で取引を終え、2018年10月以来、約1年1カ月ぶりに終値ベースで23,000円台を回復しました。8月30日から11月6日までの期間でみると、日経平均株価は12.6%上昇し、上げ幅は2,599円45銭でした。
この上げ幅に対し、寄与度が最も大きかったのは、ファーストリテイリングの231円95銭でした。その次に大きかったのは、ファナックの115円92銭です。以下、順にTDKの110円65銭、東京エレクトロンの109円51銭、ダイキン工業の89円87銭となっています(図表1)。5銘柄の寄与度を合計すると、657円90銭になりますが、これは上げ幅の約25%に相当します。
寄与度上位5銘柄はいずれも値がさ株だが、騰落率の観点からは、それほど目立ったところはない
日経平均株価は、構成銘柄の平均値によって算出されるため、株価水準の低い銘柄(低位株)よりも、高い銘柄(値がさ株)の値動きに、より大きな影響を受けやすい傾向があります。前述のファーストリテイリングなどの5銘柄は、いずれも値がさ株であり、これら5銘柄の上昇だけで、225銘柄で構成される日経平均株価を、8月末から約25%押し上げたことになります。
ただし、騰落率という観点に立つと、これら5銘柄はあまり目立たないことが分かります。実際、寄与度1位のファーストリテイリングの騰落率は+10.3%と、全体では154位にとどまります。以下、ファナックは+17.3%で87位、TDKは+36.2%で11位、東京エレクトロンは+15.9%で97位、ダイキン工業は+18.9%で71位となります。つまり、寄与度上位の値がさ株は、必ずしも騰落率上位ではない、ということになります。
日経平均はその構成上、外需銘柄の動きに敏感で、特に外需の値がさ株の影響を大きく受ける
参考までに、日経平均構成銘柄のうち、8月末からの騰落率が最も大きかったのは、川崎汽船の62.9%、次に太陽誘電の48.6%、以下、三井金属鉱業の45.4%、SUMCOの45.2%、大平洋金属の40.5%で、外需の銘柄が目立ちます。なお、日経平均株価を構成する225銘柄を東証33業種で分類すると、電気機器が27銘柄で全体の12%とトップシェアを占め、以下、化学が18銘柄で8%、機械が15銘柄で6.7%、輸送用機器が13銘柄で5.8%となります。
また、11月6日時点において、日経平均株価を構成する値がさ株の上位20銘柄について、東証33業種で分類したものは図表2の通りです。これをみると、値がさ株の上位20銘柄のうち、外需の比率は65%、内需の比率は35%となっています。以上より、日経平均株価の特徴として、①景気敏感な外需の変動に影響を受けやすく、②外需のなかでも特に値がさ株の動きに大きな影響を受けやすい、という点があげられます。
※騰落率の順位は、10月1日にエムスリーと銘柄入れ替えとなった東京ドームを含め、226銘柄で算出しています。個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
(2019年11月 7日)
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