日経225オプションのコール21,500円
市川レポート(No.640)日経225オプションのコール21,500円
- 日経225オプションのコール21,500円とは、将来の特定日に日経平均を21,500円で買う権利。
- 足元のコールオプションの建玉からすると日経平均は21,500円超えで上昇ペース加速の可能性。
- 3月はオプションと先物も満期を迎えるが、大幅上昇となるか否かは今後の日経平均の水準次第。
日経225オプションのコール21,500円とは、将来の特定日に日経平均を21,500円で買う権利
日経225オプションは、日経平均株価を対象とする株価指数オプションです。実際の取引では、「将来の特定日」に「特定の価格」で日経平均株価を「買う権利」または「売る権利」の売買が行われます。なお、将来の特定日とは取引の満期日(毎月第2金曜日)で、特定の価格とは権利の行使価格です。また、買う権利をコールオプション、売る権利をプットオプションといいます。
例えば、「3月満期の日経225オプションで行使価格21,500円のコールオプション」とは、「3月8日に21,500円で日経平均株価を買う権利」のことです。権利を買う場合、買い手は売り手に対してプレミアムと呼ばれるオプション料を支払います。逆に、権利を売る場合、売り手は買い手からプレミアムを受け取ります。コールオプションの損益線は図表1の通りです。
足元のコールオプションの建玉からすると日経平均は21,500円超えで上昇ペース加速の可能性
3月満期の日経225オプションについては、このところ行使価格21,500円のコールオプションの建玉(たてぎょく、未決済残高のこと)が大きく積み上がっていることが分かります(図表2)。3月の取引満期日は前述の通り3月8日ですが、取引最終日である前日の3月7日までに反対売買されず、建玉が残っている取引については、3月8日に算出される特別清算指数(SQ)で決済されます。
足元のコールオプションの建玉をみると、3月7日が近づくあたりで日経平均株価が21,500円を超えると、上昇ペースが一段と加速する可能性があります。その理由は以下の通りです。すなわち、日経平均価格が21,500円を超えて上昇すると、行使価格21,500円のコールオプションの買い手には利益が発生しますが、売り手には損失が発生します。この損失を補てんする売り手の行動が、日経平均株価の押し上げにつながる場合があるからです。
3月はオプションと先物も満期を迎えるが、大幅上昇となるか否かは今後の日経平均の水準次第
具体的にみていくと、日経平均株価の上昇で、損失が発生したコールオプションの売り手は、別途、日経225先物(日経平均株価を対象とする株価指数)を買い、そこから発生する利益で損失を補てんしようとします。なお、先物の買いで、先物が現物に対し一時的に割高になると、裁定業者(主に証券会社)が「先物売り+現物買い」の裁定取引を行うため、現物である日経平均株価はさらに上昇しやすくなります。
今回は、日経225オプションと日経225先物の取引最終日と取引満期日が重なります。そのため、取引最終日である3月7日の数日前に日経平均株価が21,500円を超えて上昇すると、3月満期の先物の売り手も損失確定の先物の買い戻しに動く可能性があり、オプションと先物の両方の要因で、日経平均株価が急騰することも考えられます。ただ、このような動きはその時の日経平均株価の水準次第であることや、基本的にはポジション調整による一時的なものであることは、考慮しておく必要があります。
(2019年2月21日)
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