日銀、現状維持も出口も意識
▣ 大規模緩和を維持
日銀は1月22,23日に開いた金融政策決定会合で、マイナス金利を含む大規模な金融緩和の現状維持を決めました。フォワードガイダンス(金融政策の先行き指針)も変更しませんでした。
引き続き、短期金利をマイナス 0.1%に、長期金利についてはゼロ%程度(上限1%目途)で推移するよう上限を設けず必要な金額の長期国債の買い入れを行うとしました。
フォワードガイダンスについても、「経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金上昇を伴う形で2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指す」との文言を維持しました。
▣ 2024年の物価上昇率を引き下げ
合わせて公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、2024年度の消費者物価指数(生鮮食品除く)の前年度比上昇率の見通しを+2.4%と、原油価格の下落を受けて前回2023年10月時点の+2.8%からに引き下げました(図表1)。一方、2025年度は+1.8%と、前回の+1.7%から引き上げました。
実質国内総生産(GDP)は2023年度を+1.8%と、前回の+2.0%から下方修正する一方、24年度は+1.2%と、前回の+1.0%から上方修正しました。
▣ 植田総裁の発言で出口を意識
今回の決定は事前の予想通りで、サプライズはありませんでした。ただ、植田日銀総裁が記者会見で、2%の物価目標の実現に向けた確度が少しずつ高まっているなどと述べたことから、マイナス金利解除などの金融政策の正常化(出口)に向けた思わくが広がり、0.6%台前半だった長期金利は24日には0.7%台まで上昇しました。
日銀は今後、今年の春闘(回答集中日は3月13日)や日銀短観(3月調査)、また物価指標などを確認した上で、3月もしくは4月の会合でマイナス金利解除などに動く可能性が高くなったとみられます。米国の金融政策などに振らされますが、日銀の金融政策からは、国内の長期金利は下がりにくく、ドル円は上昇しにくくなることも想定されます。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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