FRB、3会合連続で政策金利据え置き
― 今回のFOMCのポイント ―
- 政策金利を3会合連続で据え置き
- 利上げ終了を示唆
- インフレ見通しを引き下げ
- 政策金利見通しも引き下げ、来年3回の利下げを示唆
- 利下げ開始時期も議論
- 市場は来年の利下げの織り込みが一段と前のめりに
▣ 3会合連続で政策金利を据え置き、利下げ開始時期も議論
米連邦準備理事会(FRB)は12月12、13日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25~5.5%に据え置くことを決めました。据え置きは3会合連続になります。
この会合では、インフレ見通し、政策金利見通しが引き下げられたことに加え、パウエルFRB議長が利下げに言及したことを受け、市場の来年の利下げ観測が一段と強まる形になりました。
声明文では、経済活動の伸びが2023年7-9月期の力強いペースから減速してきたと分析するとともに、インフレについては、この1年で緩和したものの、依然として高いと指摘しました。
会合後の記者会見でパウエルFRB議長は、利上げサイクルのピークにいるかそれに近いと述べたほか、利下げの適切な開始時期について議論を始めていることを明らかにしました。
また、パウエル議長はリセッション(景気後退)が起こるとはみていないと述べましたが、利下げの開始時期、利下げのペースに加え、大きな景気後退を招かずにインフレが落ち着くソフトランディング(経済の軟着陸)が実現できるかも今後の焦点になりそうです。
▣ インフレ見通しを引き下げ
合わせて公表した米国経済見通しでは、2024年10-12月期の米国内総生産(GDP)の成長率を前年同期比1.4%と前回の1.5%から引き下げました(図表1)。2025年は1.8%で据え置き、2026年は1.9%と前回1.8%から引き上げました。
FRBが重視する物価指標である個人消費支出(PCE)物価指数の上昇率は、2024年が2.4%、2025年が2.1%と、それぞれ前回の2.5%、2.2%から引き下げました。エネルギー・食品を除くコア指数の上昇率は、2024年が2.4%と、前回の2.6%から引き下げました。2025年も2.2%と前回の2.3%を小幅に下回りました。
▣ 政策金利見通しを引き下げ
注目されたFOMC参加者の政策金利見通しは、2024年末の中央値は4.625%と、前回の5.125%から大きく引き下がりました(図表2)。1回あたりの利下げ幅を0.25%とすると、現在の5.25~5.5%から3回引き下げられ、来年12月には4.50~4.75%になる見通しです。
FOMC参加者の政策金利見通しに基づくと、来年6月に利下げを開始し、その後は9月、12月に利下げするのがメインシナリオになりそうです。
一方、今回の会合を受け、市場が織り込む来年の利下げ回数が5回から6回に引き上がりました。早ければ来年3月にも利下げを開始するとの織り込みです。
これまでも、市場は来年の利下げを前のめりで織り込んできましたが、この度合いが一段と強まった格好です(図表3)。とはいえ、これ以上の利下げの織り込みは限定的との見方が広がると、10年債利回りが4%を割り込んできている(14日時点)米金利の動きが落ち着いてくることも想定されます。
今後の経済データ次第ですが、利下げへの過度な期待が後退し、市場の織り込みがFOMC参加者の政策金利見通しに近づいた場合には、金融市場が不安定な動きになる可能性があり注意が必要です。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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