FRB、利上げ見送りも、金融引締め長期化を示唆
― 今回のFOMCのポイント ―
- 事前の予想通りの利上げ見送り
- 年内、あと1回の利上げ見通しは変わらず
- 2024年の利下げは、前回6月時点の4回から2回に
- 市場は、来年の政策金利見通しの前回からの引き上げをまだ織り込めていない状況
▣ 予想通りの利上げ見送りもややタカ派
米連邦準備理事会(FRB)は9月19、20日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、大方の予想通り政策金利を2会合ぶりに据え置き、政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25~5.50%のままとしました。
声明では、「最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大していることを示している」として、景気認識を前回7月の会合から上方修正するとともに、パウエル議長が「インフレ率が目標に向かって持続的に低下していると確信できるまで、政策金利を景気抑制的な水準に維持する」、「経済活動が力強いことが利上げを必要とする主な理由」と、金融引締めに積極的なタカ派的な姿勢を示しました。
また、年内にあと1回の利上げ見通しが維持されるとともに、2024年、2025年の政策金利見通しが大きく引き上げられ、市場では想定以上に金融引締めが長期にわたり維持されるとの警戒が強まりました。
▣ 成長率見通しを引き上げ
合わせて公表した米国経済の見通しでは、2023年10~12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比2.1%増と、6月時点の1.0%増から大幅に引き上げました(図表1)。2024年も1.5%増と6月時点の1.1%増から上方修正しました。
2023年の価格変動の大きいエネルギーと食品を除いた個人消費支出(PCE)物価指数は前年同期比の上昇率を3.7%と、6月時点の3.9%から引き下げました。2024年は前回予想と同じ2.6%でした。2026年になってようやく目標の2%に到達する見通しです。
▣ 年内は1回の利上げ見通し、2024年、2025年は見通し引き上げ
注目されたFOMC参加者の政策金利見通しは、2023年末の中央値は5.625%と、前回から変わりませんでした(図表2)。年内にあと1回、利上げを実施する見通しです。2024年末、2025年末については、見通しの水準が引き上がりました。
市場は年内に利上げされる確率をほぼ半々とみており、やや半身の姿勢です。2024年については、FOMC参加者の政策金利見通しは2回の利下げ、市場は3回程度の利下げの織り込みで、まだ乖離があります(図表3)。
今後の経済データ次第ですが、米金融引締めが長期化するとの観測が強まり、FOMC参加者の政策金利見通しに市場の織り込みが近づくと、米長期金利への上昇圧力がやや強まることも想定されます。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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