FRB、インフレ抑制を優先

2023/03/23

- 今回のFOMCのポイント -

  • 2会合連続で0.25%の利上げ
  • 金融システムの安定よりインフレ抑制を優先
  • あと1回の利上げを示唆

▣ 0.25%の利上げを決定

米連邦準備理事会(FRB)は3月21、22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%引き上げ、4.75-5.00%としました。0.25%の利上げは2会合連続で、米銀の経営破綻を受けた金融システム不安に配慮して、利上げを見送るとの見方もありましたが、インフレ抑制を優先させた格好です。

声明文からは「継続的な誘導目標レンジ引き上げが適切になる」との文言を削除し、「いくらかの追加の引締めが適切かもしれない」と、利上げ停止が近いことを示唆しました。

▣ 2023、24年の成長率見通しを引き下げ

あわせて公表したFOMC参加者の経済見通しでは、2023年の実質国内総生産(GDP)予想の中央値は前年同期比0.4%増と、昨年12月予想の0.5%増から小幅に下方修正されました(図表1)。2024年についても、1.2%増と前回予想の1.6%増から引き下げられました。2025年は1.9%増と、ようやく長期見通しを上回る見通しです。

失業率については小幅な修正にとどまりました。

また、FRBが物価の目安として注目する食品・エネルギーを除くコア個人消費支出価格指数(コアPCEデフレーター)は、徐々に低下していく見通しで、2025年は2.1%と、FRBの目標である2%に近づきます。

▣ 5月の利上げの有無や年内の利下げの可能性が焦点に

注目されたFOMC参加者の政策金利見通しでは、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)は5.125%と、前回と同水準で、あと1回の利上げで利上げサイクルが終了するとの見方ができます。次の5月の会合で政策金利を0.25%引き上げ、利上げ終了となることが見込まれます。

もっとも、米短期金融市場が織り込む政策金利は、5月の会合での利上げ見送りの確率が0.25%の利上げをやや上回っています。その後については、年内に利下げに転じるとの織り込みです(図表2)。

パウエルFRB議長は年内の利下げ転換を想定していないと説明しており、政策金利見通しは市場と大きく乖離しています。利下げ観測が楽観的との認識が強まった場合には、金融市場が不安定になることも想定され注意が必要です。

今後は雇用統計や物価指数などの経済指標に加え、金融不安が払しょくされるかなども確認しながら、次回会合での利上げの有無や、年内の利下げの可能性を探っていくことになります。

 

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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