FRBは大幅利上げ継続、先行きは不透明
▣ 0.75%の大幅利上げ継続
米連邦準備制度理事会(FRB)は11月1、2日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、大方の予想通り、4会合連続の0.75%の大幅利上げ継続を決めました。
政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は3.75~4.00%となり、FOMC参加者が想定する景気を熱しも冷ましもしない中立金利の水準2.5%を一段と上回ることになりました。
▣ パウエル議長はややタカ派姿勢
声明文で、「将来の利上げペースを決めるにあたり、FOMCは累積した金融引締めや金融政策が、経済活動やインフレに与えるラグ(遅れ)、経済、金融情勢を考慮する」との文言が追加されたことを受け、市場ではこのラグを検証するため利上げペースを減速させるとの期待が一旦広がりました。
ただ、パウエルFRB議長が会合後の記者会見で、政策金利の最終到達地点(ターミナルレート)は従来の想定より高くなる可能性を示唆し、早期の利上げ停止も否定したことから、米金融引締めが長期化するとの観測が広がりました。
パウエルFRB議長の主な発言は以下のとおりです。
- 物価上昇率を2%目標に下げるために十分に引き締まった金利水準に近づけば、利上げペースを減速させることが適切になるが、その金利水準は極めて不透明。
- 前回の会合以降に入ってきたデータをみれば、ターミナルレートは以前の予想より高いことを示唆している。
- 利上げペースの減速が適切となる時期はいつか来る。早ければ次の会合、もしくはその次かもしれない。次回の会合で議論はするだろう。
- 利上げ停止を考えるのはあまりにも時期尚早。
- 景気のソフトランディング(軟着陸)はまだ可能。
▣ ターミナルレート引上げを織り込み、景気後退の予兆も
FOMCを受けても、米短期金融市場の12月のFOMCでの利上げ幅についての織り込みは、0.5%利上げと、0.75%利上げが拮抗している状況は変わりませんでした。ただ、来年前半に政策金利が5%程度まで上昇した後、利上げが停止されるとの織り込みでしたが、水準が0.1%ほど引き上がりました(図表1)。来年前半までに政策金利がさらに1.25%程度引き上げられるとの織り込みです。
その後は政策金利が高止まりする可能性は高そうですが、パウエル議長が景気後退の予兆として重視する3か月金利と18か月先の3か月金利の逆転が起きつつあります(図表2)。市場ではターミナルレートの水準引上げとともに、景気後退を受けた将来的な利下げも織り込みつつあるかもしれません。
12月のFOMCで0.5%の利上げが決定されると、利上げペースの鈍化を受けて、利上げ停止が近いとの見方が広がる一方、0.75%の利上げでは金融引締め長期化が意識される可能性があります。
しばらくは、FRB高官の発言や米経済指標など確認しながら、見通しにくいターミナルレートの水準や金融引締め期間などを探っていくことになりそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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