FRB、大幅利上げ継続、政策金利見通しも大幅引き上げ
- 今回のFOMCのポイント -
- 3会合連続の0.75%の大幅利上げ
- 利上げ幅については事前予想通りの利上げでサプライズはなし
- ただ、政策金利見通しを想定以上に引き上げ
- 積極的な金融引締めで成長見通しを大きく引き下げ
▣ 3会合連続で0.75%の大幅利上げを決定
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月20、21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、6月、7月に続き3会合連続で通常の3倍となる0.75%の利上げを決めました。一部では1%の利上げもあり得るとの見方もありましたが、大方の予想通りで利上げ幅についてはサプライズはありませんでした。
パウエルFRB議長は、インフレを2%に抑えることに尽力し、対応を続けるというメッセージは8月のジャクソンホール会議以降変わっていないと述べるとともに、利下げはインフレが2%に戻ると確信できて初めて検討するとしました。
また、インフレを抑えるためには潜在成長率を下回る経済成長率と、労働市場の需給バランスの改善が必要としています。
▣ 成長見通しを引き下げ、物価見通しは引き上げ
あわせて公表したFOMC参加者の経済見通しでは、2022年の実質国内総生産(GDP)予想の中央値は前年同期比0.2%増と、6月予想の1.7%増から大きく下方修正されました(図表1)。金融引締め加速が押し下げた格好です。2023年、2024年についても、それぞれ1.2%増、1.7%増と前回予想(1.7%増、1.9%増)から引き下げられました。2025年は1.8%増と、ようやく長期見通しに達する見通しです。
失業率については引き上げられ、2023年には長期見通しの4%を上回る予想です。
また、FRBが物価の目安として注目する食品・エネルギーを除くコア個人消費支出価格指数(コアPCEデフレーター)の見通しは、2022年は4.5%上昇と、6月の予想(4.3%上昇)から引き上げられました。2023年も3.1%上昇と前回予想の2.7%上昇から引き上げ、2024年は2.3%上昇と前回から据え置かれました。2025年は2.1%と、FRBの目標である2%に近づきます。
▣ 政策金利見通しを大幅引き上げ
注目されたFOMC参加者の政策金利見通しでは、2022年末の政策金利の水準(中央値)が4.375%と6月の3.375%から大幅に引き上げられました(図表2)。2023年末は4.625%、2024年末は3.875%と、それぞれ6月の見通しの3.875%、3.375%から引き上げられました。
今回加わった2025年末は2.875%で、景気を熱しも冷やしもしない中立金利の目安となる長期見通しの2.5%を2025年まで上回る見通しとなりました。
今年については11月、12月のFOMCでそれぞれ0.75%、0.50%の利上げが見込まれます。
米金融市場の将来的な政策金利の織り込みは進んでいますが、まだ若干乖離が残っています(図表3)。この乖離が解消されると、政策金利に影響を受け易い米2年債などの利回り上昇が一服し、米長期金利についても景気悪化への警戒も加わり、一段の上昇が抑制される可能性があります。
とはいえ、より積極的な金融引締めについて市場の織り込みが進み、インフレが明確にピークアウトするまでは、内外の金融市場は神経質な動きが続く可能性があり注意が必要です。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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