市場とFRBの乖離は縮小も、期待はわずかに残る

2022/08/30

▣ インフレを抑え込むまで金融引締めを継続

注目されたジャクソンホール会議での8月26日の講演で、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、労働市場が縮小し、家計や企業にもたらす痛みを伴っても、インフレを抑え込むまで利上げを継続し、政策金利を高水準で維持する考えを示しました。

また、歴史は時期尚早な金融緩和を強く戒めているとし、利上げの行き過ぎや景気悪化に配慮して早めに利下げに転じるとの市場の期待(楽観)が打ち消された格好となり、26日にはNYダウは1,000ドルを超える大幅下落となりました(図表1)。

▣ まだ、利下げへの期待はくすぶる

ただ、米金融市場では、2023年前半までは利上げを継続も、後半には利下げもあり得るとの期待はまだくすぶっています(図表2)。

投資家の市場心理を表し恐怖指数とも呼ばれるVIX指数は、不安心理が高まっているとされる 20 を上回り、26ポイント台まで上昇していますが、FRBが金融引締めを急ぐとの警戒が強まった6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)前後の30ポイントには届いておらず、警戒も限定的となっています。

▣ 9月のFOMCで期待がさらに打ち消される可能性も

9月のFOMC(20-21日)で公表される政策金利見通しの水準が引き上げられると、2023年中の利下げ観測が大きく後退し、金融引締めが長期化するとの見方が一段と強まる可能性があります。わずかに残っている市場に優しいFRBへの期待(市場に配慮した金融政策運営への期待)が打ち消され、米金融市場が不安定な動きになることには注意が必要です。

米短期金融市場では9月のFOMCで、3会合連続で0.75%の大幅利上げが決定される確率が7割程度まで上昇しています。しばらくは、米雇用統計や消費者物価指数などの経済指標を確認しながら、9月のFOMCでの利上げ幅やその後の利上げペースを占っていくことになります。

また、9月から縮小額が月475億ドルから月950億ドルに倍増される量的引締め(米国債などの保有資産の圧縮)の影響(緩和マネーの圧縮、米国債市場の需給)も確認したいところです。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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