日銀の金融政策修正への思わく
▣ 日銀の金融政策修正への思わくから、6月には長期金利は一時0.265%まで上昇
黒田日銀総裁の任期満了(来年4月8日)まで9か月を切る中、日銀の金融政策の修正をめぐる思わくがくすぶっています。
前回の日銀金融政策決定会合では、結果が発表される6月17日に長期金利(新発10年国債利回り)は一時0.265%と、日銀が許容する上限の0.25%を大きく上回りました。ただ、日銀が強力な金融緩和策を維持し、短期の政策金利をマイナス 0.1%、長期金利をゼロ%程度で推移するよう誘導する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)も据え置いたことを受け、長期金利は0.2%台前半に戻る動きになりました。
▣ 金融政策修正の候補
日本でも当面、物価上昇率が物価安定目標の2%を超えて推移することが見込まれる中、日銀も何らかの政策修正に動く、もしくは来年の日銀総裁交代に伴い政策の枠組みが修正されるとの観測が根強く残ります(図表1)。
金融政策修正の候補としては、
- フォワードガイダンス「現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」の修正、削除
- 長期金利の許容変動幅(±0.25%)の拡大
- 長期金利の誘導目標(ゼロ%)の引上げ
- 現行10年債としている操作対象の5年債などへの短期化
- マイナス金利の解除
などが挙げられています。
▣ 日銀総裁人事も本格化
次の日銀総裁については、今のところ雨宮正佳副総裁と中曽宏大和総研理事長(前副総裁)の一騎打ちとの声が聞かれます。
雨宮氏については、企画担当理事や副総裁として黒田総裁を支え、異次元緩和やマイナス金利政策、長短金利操作などさまざまな非伝統的な金融緩和策の設計を主導してきた人物と言われています。
中曽氏については、海外金融当局者との親交が深く、金融市場局長と国際決済銀行(BIS)市場委員会議長を兼任するなど、金融システム、市場取引、国際金融に精通しており、異次元緩和には慎重な考えだったとされています。
参院選が終了し、政府は日銀総裁人事の調整を本格化させるとみられます。アベノミクス継承を唱えるリフレ派が推す雨宮氏なら黒田路線が続く可能性が、中曽氏ならやや大きな枠組み修正の可能性が出てきます。
日銀総裁人事も絡み、日銀の金融政策をめぐって金融市場が神経質な動きとなる場面も出てきそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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