FRB、0.5%の利上げ、量的引締め開始を決定
▣ 予想通り0.5%の利上げ、量的引締め開始を決定
米連邦準備制度理事会(FRB)は5月3、4日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25~0.5%から0.75~1.0%に引き上げました。0.5%の大幅利上げは22年ぶりとなります。
また、米国債などの保有資産を圧縮する量的引締め(QT)の開始も決めました。
量的引締めについては、
- 即日ではなく、6月1日から開始
- 最初の3か月は月額475億ドル(米国債300億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)175億ドル)の縮小
- 9月からは縮小額を月額最大で950億ドル(米国債600億ドル、MBS350億ドル)まで増額
となります。
▣ パウエル議長は0.75%の大幅利上げには否定的
パウエル議長は会合後の記者会見で、「今後2回程度の会合でも0.5%の利上げを検討する」と積極的な利上げを進める意向を示す一方、「0.75%利上げは積極的に検討しているものではない」と、より積極的な利上げには否定的な姿勢を示しました。
また、経済のソフトランディング(軟着陸)は可能との見方を示しました。
▣ この決定を受けた金融市場は
4日の米株式市場は、パウエル議長が0.75%のより大幅な利上げに否定的だったことを好感し、NYダウが今年最大の上げ幅となるなど大きく上昇、米長期金利は低下する動きになりました(図表1)。
ただ、5日にはインフレへの懸念が強まる中、0.75%の利上げに否定的だったことで、FRBがインフレを抑制できるのかとの警戒が広がり、NYダウはほぼ2年ぶりの大幅な下げとなりました。また、米長期金利も一時3.1%まで上昇するなど、不安定な動きになりました。
▣ 市場は0.75%の利上げもあり得るとの見方
米短期金融市場は、6月に0.75%の利上げ、7月は0.5%の利上げの織り込みで、依然として0.75%の利上げもあり得るとの予想です。
内外の金融市場は、米金融引締めのペースに加え、11日発表の4月の米消費者物価指数などでインフレのピークアウト観測が広がるか、またFRBがリセッション(景気後退)に陥ることなくインフレを抑制するソフトランディングに持っていけるとの観測が強まるかなどを探りながらの、やや不安定な動きが続く可能性があります。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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