FRB、3月に利上げ開始も

2022/01/07 <>

▣ 想定よりタカ派的

米連邦準備制度理事会(FRB)は1月5日、米国債などを買い入れる量的緩和の縮小(テーパリング)のペースの加速を決定した、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表しました。

主なポイントは以下のとおりです。

  • 3月中旬にテーパリング終了
  • 早ければ、3月15、16日のFOMCで利上げ開始を決定
  • その後、バランスシートの縮小に着手
  • バランスシートの縮小は大規模になる可能性も

労働市場の回復やインフレの動向次第では、2022年の利上げ回数が昨年12月のFOMC参加者の見通しである3回を上回る可能性があるとともに、テーパリング終了後すぐにバランスシートの縮小に着手する可能性も出てきました。

※バランスシートの縮小:米国債などの保有資産の規模を縮小する量的引き締め(Quantitative Tightening、QT)

▣ 米長期金利は1.7%台に上昇

市場では予想以上に金融引き締めに積極的なタカ派的な姿勢と受け止められ、5日の米長期金利は一時6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し1.71%と、昨年4月以来の高水準まで上昇しました。想定よりも早い米金融政策の正常化への警戒感が広がる中、米長期金利上昇を受け、米株式市場は不安定な動きになり、ドル円も116円台まで上昇しました。

6日は、米長期金利は一時1.75%まで上昇(終値は1.72%)、米株は続落しました。投資家のリスク回避姿勢から円が買われ、ドル円については115円台後半に戻りました。

▣ 利上げ前倒しも、利上げ回数の織り込みは変わらず

米短期金融市場では、これまでは6月に利上げ開始との織り込みでしたが、3月利上げを織り込み始めました(図表1)。もっとも、米短期金融市場が予想する2024年12月の短期金利の水準は1.76%程度にとどまっており、利上げは前倒しされ、2022年の利上げ回数も増える可能性はあるものの、その後の利上げのペースは徐々に鈍化し、FOMC参加者の政策金利見通し(2024年末見通し)の2.0~2.25%には届かないとの織り込みは変わっていません(図表2)。

長期金利は先々の金利も織り込んで水準形成されることから、市場の政策金利の織り込みからは、足元の米長期金利の上昇は限定的とみられます。また、需給面からは、米国債の最大の買い手(FRB)がいなくなり、需給が悪化するとの懸念がある一方、米長期金利が上昇すると、利回りの高さに着目した米国債投資が増えることも想定され、需給が大きく崩れ、米長期金利を押し上げるとは言い切れません。

米長期金利のやや不安定な動きが続く可能性がありますが、1月のFOMC(25、26日)が近づくと、12月の会合以降のオミクロン株の感染拡大を受けた、金融政策運営(タカ派姿勢を維持するのか、後退させるのか)を確認しようと、徐々に様子見姿勢が広がることも想定されます。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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