寅、千里を走るか

2021/12/29

▣ 丑はつまずかず

2021年は十二支では“丑(うし)年”、十干では“辛(かのと)”にあたり、干支にちなんだ相場の格言では「丑(うし)はつまずき」と言われます。

ただ、今年の国内株は、新型コロナウイルスの感染拡大やそれを受けての緊急事態宣言などにつまずきそうになりながらも、日経平均株価とTOPIXは9月には約31年ぶりの高値まで上昇しました。その後は上昇幅を縮小しましたが、足元(12月28日時点)では2万9,000円前後と前年比6%弱、TOPIXも前年比11%強上昇しています。

長期金利は、米国債増発による需給悪化懸念に加え、良好な景気指標や原油価格上昇を背景にした物価上昇観測などを背景に米長期金利が上昇したことを受け、2月末には一時0.175%とマイナス金利導入後の最高水準まで上昇しました。その後は新型コロナの感染拡大への警戒感が広がる中、8月にゼロ%まで低下しました。低下し過ぎとの見方などから上昇に転じ、10月以降は0.05%~0.10%を中心とした動きが継続しました。米連邦準備制度理事会(FRB)によるテーパリング(量的緩和の縮小)開始・加速、利上げ見通し引き上げの影響は限定的でした。

東証REIT指数は、株式市場に比べた出遅れ感からの買いや経済活動正常化への期待、また一旦上昇した長期金利が落ち着いてきたことなどから7月までは堅調な地合いが継続し、一時2,200ポイントをつけました。その後は緊急事態宣言への警戒に加え、公募増資(PO)が相次いだことなどを受け、上値の重い動きが続きました。足元では前年比15%程度の上昇となっています。

ドル円は、米国の大規模な経済対策や経済正常化への期待に加え、FRBが金融政策の正常化に舵を切る中、前年末の103円程度から11月には一時115円台まで上昇しました(図表1、2)。

▣ 来年は寅年

2022年は十二支では“寅(とら)年”、十干では“壬(みずのえ)”にあたります。「寅千里を走る」と言われ、人やものの勢いが非常に盛んな様子のたとえとされます。

とはいえ、60年間のTOPIX(配当なし)の平均騰落率は、“寅年”は十二支の中で7番目、また1勝4敗と勝率は2割で最も低い年になります(図表3、4)。

“壬”については、平均騰落率は3番目、勝率は5割とさほど悪くはありません(図表5)。

前回の壬寅(みずのえ・とら)にあたる1962年は、キューバ危機が起こった10月に大きく下落したことが足を引っ張り、小幅な下落となりました。

前回の“寅年”に当たる2010年には、1月に欧州委員会がギリシャの統計上の不備を指摘したことが報道され、同国の膨大な財政赤字が世界的に明らかになり、ギリシャ危機が起こりました。この年の国内株は若干のマイナスとなりました。

来年は、緩やかな景気や企業業績の回復が見込まれますが、年明け後の新型コロナの感染拡大が警戒されます。また、夏には参院選が行われます。2010年の参院選は与党であった民主党が敗れるなど、寅年の参院選は与党に厳しいとのジンクスもありそうです。岸田首相の金融所得課税強化の動きにも注意が必要かもしれません。

国内の金融市場に大きな影響がある米国については、バイデン大統領の看板政策である気候変動・社会保障関連歳出法案「ビルド・バック・ベター(よりよき再建)」の可否に加え、インフレや新型コロナの動向、正常化に舵を切ったFRBの金融政策運営などが注目されます。

その他、米中対立やウクライナ情勢などにも注意が必要です。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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