GPIF、国内株式に1兆円超の買い余力

2021/11/08 <>

▣ 6四半期連続の黒字

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は11月5日、2021年7-9月期の運用実績を公表しました(図表1)。新型コロナウイルスのワクチン接種による経済活動の正常化や今後の経済政策に対する期待感等から、国内株式市場が大きく上昇したことが収益に寄与し、運用益はプラス1兆8,763億円と、6四半期連続のプラスとなりました。ただ、外国株式については、主要国における緩和的な金融政策の転換が意識される中、相場が小幅に下落し、若干足を引っ張った格好です。

▣ 国内株式、国内債券の構成割合が上昇

GPIFは2020年度から、基本ポートフォリオについて、前年度までの国内債券 35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%の構成割合を変更し、それぞれ25%としました。また、為替ヘッジ付き外国債券と円建て短期資産を国内債券に、外貨建て短期資産を外国債券に合算しました。

2021年7-9月期は、国内債券、国内株式の構成割合が上昇した一方、外国債券、外国株式の構成割合が低下しました。国内株式の構成割合については25%を若干上回りました。

今年3月末に構成割合が25%を上回った国内債券については、4兆円を超える買い越しとなり、構成割合がさらに上昇しました。外国債券については、7,100億円程度買い越したものの、やや軟調な市場の動きを受け、構成割合が低下しました。

国内株式については、相場が大きく上昇し、構成割合が25%を上回ったことから1,400億円程度売却した模様です。6月末に構成割合が25%を上回った外国株式については、9,900億円程度の売却があったとみられます。相場が小幅に下落し資産額が押し下げられたことも手伝い、外国株式の構成割合は24%程度まで低下しました。

▣ 引き続き国内株式に買い余力

足元の国内債券の構成割合は9月末と比べ低下、外国債券についてはほぼ同水準です。また、外国株式の構成割合が上昇している一方、国内株式の構成割合は低下しているとみられます。

今後、相場が大きく動かないことを前提にすると、国内債券は若干の売却、外国債券については若干の買い増し、外国株式については若干売却し、25%程度に戻す可能性があります。国内株式については買い余力(25%に戻すとすると1兆円強)があり、相場の下支えに寄与することも想定されます。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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