日銀、大規模緩和を維持
▣ 大規模な金融緩和を継続
日銀は7月15、16日の金融政策決定会合で、短期金利をマイナス0.1%、長期金利の指標である10年物国債の利回りをゼロ%程度に誘導する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)や上限を設けない長期国債の買入れなど、大規模な金融緩和の維持を決めました。
上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(Jリート)について、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れを行う方針も維持しました。
▣ 気候変動対応を支援するための資金供給を年内にも開始
また、日銀は6月の決定会合で導入を決めた気候変動対応を支援するための資金供給の骨子素案を公表しました。新型コロナウイルス対策での資金供給としても活用している「成長基盤強化支援資金供給制度」の後継としていますが、2022年6月の同制度の終了を待たず、年内を目途に開始し、2030年度まで実施するとしています。
▣ 成長率見通し、インフレ見通しを上方修正
あわせて公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、2021年度の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しを前年度比3.8%と、4月時点の4.0%から引き下げました(図表1)。前回の見通しと比べると、成長率については、緊急事態宣言の延長や再発令などが重しになり、2021年度の見通しは小幅に下振れましたが、感染症の影響が和らぐとし、2022年度については引き上げました。
消費者物価(生鮮食品除く、コアCPI)上昇率の2021年度の見通しは0.6%と、エネルギー価格の上振れなどから、4月時点の0.1%から引き上げました。ただ、2023年度は1.0%の上昇と前回の見通しと変わらず、2%の物価目標は見通せない状況です。
▣ 緩やかなテーパリング継続か
黒田総裁の記者会見では、気候変動の投融資についての質疑応答が中心でしたが、日銀が国債の買入れ方針の公表を毎月から四半期に変更するとともに、7-9月の買入れ予定額を減少させたことについては、市場機能の一段の発揮を促すための微調整であり、今後買入れ額を減らしていくことではないと説明しました。
もっとも、日銀が6月に開催した「債券市場参加者会合」では、日銀による国債の保有比率が高いため、市場で売買が減少し、流動性が悪化していることから、日銀の買入金額の縮小を要望する声が多く上がりました。日銀は今年に入り、国債の買入れ額を減らしてきていましたが、市場関係者の要望を受けて、7-9月の買入れ予定額をさらに減少させたとみられます(図表2)。
ETF、Jリートの買入れについても、市場の価格形成をゆがめているなどの批判もあり、3月の会合で市場の状況に合わせて弾力的に行う方針に変更し、その後は顕著に買入れ額が減ってきています(図表3)。
大規模な金融緩和が長期化することが見込まれる中、金融緩和をより効果的に、持続的にするために、適度な資産買入れを模索しつつ、緩やかなテーパリング(買入れ額の縮小)が続くとみられます。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
※本資料は、ご投資家の皆さまに投資判断の参考となる情報の提供を目的として、しんきんアセットマネジメント投信株式会社が作成した資料であり、投資勧誘を目的として作成したもの、または、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
※本資料の内容に基づいて取られた行動の結果については、当社は責任を負いません。
※本資料は、信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。また、いかなるデータも過去のものであり、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。
※本資料の内容は、当社の見解を示しているに過ぎず、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。記載内容は作成時点のものですので、予告なく変更する場合があります。
※本資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。当社の承認無く複製または第三者への開示を行うことを固く禁じます。
※本資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会